71年発表の1st。E.L.O.はロックにクラシック(特に弦楽)を加えてみようというロイ・ウッドのアイディアを具体化するために、当時ヒットを飛ばしていたムーヴの別名儀のグループとして末期ムーヴのメンバー、ロイ・ウッド、ジェフ・リン、ベヴ・ベヴァン(dr) の3人が中心になって結成されたグループ。 アルバム製作〜ライヴにあたって若干メンバーの変動があったものの、この時期のメンバーは3人の他にリチャード・タンディ(b)、ビル・ハント(k)、ウィルフ・ギブソン(vln)、ヒュー・マクドウェル(cel)、アンディ・クレイグ(cel)の8人。後の甘美なメロディも聞かれるものの、何か新しいことをやってみようというこの時代の空気を反映した典型的なアート・ロックの作品として楽しむべき作品かと思う。管弦を加えたクラシカルなアレンジながらプログレ的な雰囲気をあまり感じさせないサウンドは貴重であり、新しい時代の幕開けのようなものを感じさせる前向きな作品である。後に洗練されて美しいメロディを極限まで活かしたアレンジを聞かせる彼らだが、ここではまだゴツゴツとした無骨な一面も見せ、また実験的なサウンドも聞かせている。E.L.O.の原点としても興味深いが、あの時代にロックに弦楽奏者を加えるということがいかに突飛で無謀だったかということが良く分かるおもしろい作品でもある。悪戦苦闘を者ともしない生々しい弦の響きは凄まじく新鮮。楽曲も志が高さが感じられ、ある意味で全盛期を凌ぐほどのクオリティを持っている。
ちなみにロイ・ウッドは本作発表後あっさりと脱退。ビル・ハントとヒュー・マクドウェルを伴ってウィザードを結成する。