このシリーズの主眼であるヴィジュアルの美しさは、かなりのものです。
エリスは線が細くて可愛らしいし、豊太郎もアンニュイな感じ。音楽もメロドラマ的で雰囲気出てます。
しかし、時代考証やロケーションの考証にたいへん抜かりがあって、20世紀初頭のドイツの話なのに
ベルリンの通行人の服装が第二次大戦後のアメリカのモードっぽかったり
町並みがドイツというよりスペインとイタリアの折衷っぽかったり
豊太郎が質草にエリスに与える「時計」が腕時計(!!)だったりします。
また、ナレーションが本文の抜粋なのですが、これも現代語訳がところどころ怪しいです。
抜粋されている箇所も、そこなの? というのがたまにあったりして、洗練度は高くありません。
ですので、「これを観て『舞姫』の勉強をしよう」という方にはお薦めできません。
あらかじめストーリーを知っていてイメージを膨らませたい方・きれいな絵でこの話を観たい方向け ではないでしょうか。