ある音楽評論家が彼を評して曰く
「ミュージシャンの本質を的確にレコードに残す、その手助けをする」
のがトム・ダウドというプロデューサーである
と(大意です。詳細うろ覚えです)言ってますが
本作を観れば納得がいきます。
ドキュメンタリーですがドラマでもあり
予備知識なしでも十分面白く
ジャズやR&Bに詳しい人でも
お、あの曲、あのミュージシャンもトムとやってたのか
となること請け合いです。
また音楽的素養やプロデュース能力とともに
彼の人柄が名作・傑作に貢献したというエピソードの数々には
心底じーーーーんと来てしまいます。
⇔ これもある評論家曰く
フィル・スペクター(もちろん偉大なプロデューサです)は
「フィル・スペクター・サウンドを作るためにミュージシャンを使う」。
どっちが正しいとかということではありません。
ただし、わたしの好きなミュージシャンのエピソードに関して言えば
この見方に賛成です。以下例.
1. "Tell The Truth"(アルバム「いとしのレイラ」収録曲)を
最初はフィルにプロデュースしてもらったドミノズのコメント
「結局ドミノズじゃなくてスペクター・サウンドになっちゃったんだよ」
2.アルバム "Let It Be" タイトル曲のミックスで
「ポールのボーカルを消してもっとエコーを」
と怒鳴り散らし、周りもみな呆れ顔。
しまいにはリンゴに「お前、ちょっとツラ貸せ」と諭された
などなど
スペクター氏のことは置いといても
観て幸せになるし何度も観たくなるしその度に発見がある
そんな作品です。ぜひご一聴を