もの凄く面白い映画です。炸裂する会話が響き渡り感情を剝き出しにした役者の表情が素晴らしいです。特にビッグダディ役のバール・アイブスさんの演技・存在感がすごいと思います。戯曲がベースとなっているので台詞がかなり多いですが、月橋さんの字幕は英語の台詞を的確にとらえた良い翻訳だと思います。
この映画自体はエリザベス・テーラーさんのために作られたものですが、主役はポール・ニューマンさん演じるブリック(煉瓦)です。主人公ブリックと親友スキッパーとの関係とそこから来るブリックの悲劇、ブリックとビッグダディとの確執がテーマだと思ったのですが、本当のテーマは人間社会の欺瞞(mendacity)らしいです。この当時E・テーラーさんは絶世の美女と言われていてとても美しくスミレ色の瞳はまるで宝石のようです。
テネシー・ウィリアムズの原作は卑猥であけすけな表現が多く登場人物に対し容赦ない描き方をしています。そして第3幕については原台本と演出家エリア・カザンの指摘により手を加えた上演用の台本の2通り
あります。この映画は内容的に原作とはかなり違っているので原作とは別物と考えるべきだと思います。
映画の中ではブリックとスキッパーの関係はホモとかゲイといった恋愛感情ではありません。父親との絆がなかったためお互いを支え合う友情関係だったといえます。もちろん2人の関係はもう少し肉付けのほしいところではありますが。ブリックはスキッパーに対し罪悪感を感じています。スキッパーを自死させてしまったという自責の念がブリックの心を閉ざさせているのです。そのために美しい妻を受け入れられない、そして自分の人生をうまく歩めないでいます。そんな悲劇的な気品のある主人公ブリックの役が若い頃のニューマンさんの美貌と無機質な声によく合っていると思います。音声解説のドナルド・スポトーはニューマンさんの演技に対し辛辣です。スポトーが言うようにクールで冷めた雰囲気がある俳優だとは思います。しかしそれが却ってこの超然としたブリックの役に合っていると思うのです。ブリックの役はかなり難しいと思いますが、その青く美しい瞳はクールで無表情でときには苦しく絶望的で見る者の心をかきむしります。全篇を通してブリックの内面の深い苦悩が伝わってきます。それでも最後には柔和な眼差しになり生きる情熱を取り戻していきます。息子を立ち直らせようとするビッグダディの必死の気迫がブリックの頑なな心を動かしたのだと思います。
私はニューマンさんが演じたすべての役の中でこの映画の演技と美しさが最高だと思っています。リチャード・ブルックスの脚本によって登場人物に人間としての尊厳が与えられ、原作に比べて格調あるものとなったこと、主役をP・ニューマンさんとE・テーラーさんが演じたことでこの映画は高く評価され興行的にも大成功を収めました。
熱いトタン屋根の猫 [DVD]
フォーマット | 色, ドルビー, ワイドスクリーン |
コントリビュータ | エリザベス・テイラー, テネシー・ウィリアムズ, リチャード・ブルックス, ポール・ニューマン, バール・アイブル |
言語 | 英語 |
稼働時間 | 1 時間 48 分 |
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商品の説明
Amazonより
アメリカ南部の旧家、当主のビッグ・ダディ(バール・アイヴス)はがんに侵されているが、本人はそのことを知らない。彼に溺愛されている息子ブリック(ポール・ニューマン)は酒びたりで妻マーガレット(エリザベス・テイラー)とも上手くいっていない。そんな折、父の財産を目当てに長男夫婦が帰省してきた…。
テネシー・ウィリアムズの同名戯曲を名匠リチャード・ブルックス監督のメガホンで映画化。まさに熱いトタン屋根の上で猫がのたうちまわるような家族の愛憎劇が、画面狭しと繰り広げられていく。主人公的存在のブリックが同性愛者であるという設定も、当時としては衝撃的なものだったろう。美人スターから演技派への転向を図ったリズの熱演も認めていい。(的田也寸志)
登録情報
- アスペクト比 : 1.78:1
- 言語 : 英語
- 梱包サイズ : 18.03 x 13.76 x 1.48 cm; 83.16 g
- EAN : 4988135580917
- 監督 : リチャード・ブルックス
- メディア形式 : 色, ドルビー, ワイドスクリーン
- 時間 : 1 時間 48 分
- 発売日 : 2006/10/6
- 出演 : エリザベス・テイラー, ポール・ニューマン, バール・アイブル
- 字幕: : 英語, 日本語
- 言語 : 英語 (Mono)
- 販売元 : ワーナー・ホーム・ビデオ
- ASIN : B000HCPV64
- ディスク枚数 : 1
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年2月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
エリザベス・テーラーは子役の時から有名で、美貌が衰えず大女優になった人です。エリザベス・テーラーの代表作としてジャイアンツがありますが、ロックハドソンとジェイムスディーとともに出ています。DVDのジャイアンツは昔見たジャイアンツと違っています。昔見たジャイアンツおもしろかったです。
2018年6月25日に日本でレビュー済み
原作も舞台も知らないが、以前から気がかりなタイトル。映画タイトルは「熱いトタン屋根の猫」。本屋でよく目にする背表紙タイトルは「やけたトタン屋根の上の猫」。
初めて視聴。大作ではないが佳作。黒人奴隷時代のミシシッピで、極貧からプランテーションを起こしたビッグダディ。彼の余命いくばくもないここに至って、彼の家族が各々の真実を吐露しながら愛に向き合っていく。
出だしから、エリザベス・テイラーが機関銃のようにしゃべりまくる。戯曲の台詞を、映画の時間内に収めるためか。英語ネイティブではないから分からないが、次々と追いかけるように映される日本語字幕は、英語の台詞を端折っているのではとふと疑問に思う。
愛がないことに気づいていたが、言い出せなかった...ステレオタイプのようでもあり、金持ちの贅沢な悩みのようでもあり、余り感心しなかった。「欲望という名の電車」同様、薄められているがゲイがらみ。
初めて視聴。大作ではないが佳作。黒人奴隷時代のミシシッピで、極貧からプランテーションを起こしたビッグダディ。彼の余命いくばくもないここに至って、彼の家族が各々の真実を吐露しながら愛に向き合っていく。
出だしから、エリザベス・テイラーが機関銃のようにしゃべりまくる。戯曲の台詞を、映画の時間内に収めるためか。英語ネイティブではないから分からないが、次々と追いかけるように映される日本語字幕は、英語の台詞を端折っているのではとふと疑問に思う。
愛がないことに気づいていたが、言い出せなかった...ステレオタイプのようでもあり、金持ちの贅沢な悩みのようでもあり、余り感心しなかった。「欲望という名の電車」同様、薄められているがゲイがらみ。
2016年7月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容はまあまあかな。1度みればもういいかな…という感じです。
2022年10月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大御所、P・アイブスの恰幅、若き(?)E・テイラーの体当たりの演技。
原作は舞台劇ですので、映画では心理劇となりました。
アイブスがP・ニューマンを容赦なく追い詰めていくシーンは圧巻。
やがて、アイブス、テイラー、ニューマンの和解へと繋がっていきます。
ハリウッド的ハッピーエンドなので、原作との異動の確認が必要です(その分を保留で、★1つ減点)。
原作は舞台劇ですので、映画では心理劇となりました。
アイブスがP・ニューマンを容赦なく追い詰めていくシーンは圧巻。
やがて、アイブス、テイラー、ニューマンの和解へと繋がっていきます。
ハリウッド的ハッピーエンドなので、原作との異動の確認が必要です(その分を保留で、★1つ減点)。
2013年3月26日に日本でレビュー済み
真実を求めているにもかかわらず
心のどこかで真実を恐れる人々が繰り広げる「論戦」が
ある種の恐怖と感動を呼び起こす作品であります。
(過激要素「同性愛など」を巧みにぼかすことによって
想像力を刺激する作りとなっている点も見逃せません。)
心のどこかで真実を恐れる人々が繰り広げる「論戦」が
ある種の恐怖と感動を呼び起こす作品であります。
(過激要素「同性愛など」を巧みにぼかすことによって
想像力を刺激する作りとなっている点も見逃せません。)
2014年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
以前見たことがあり印象が良かったのでもう一度見たいとおもい
購入しましたエリベステイラーが美しくポールニューマンもかっこよく
内容も良かったです
購入しましたエリベステイラーが美しくポールニューマンもかっこよく
内容も良かったです