血を吸うカメラ [DVD]
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商品の説明
悲鳴、恐怖に怯える顔、そして断末魔の表情……。それこそが彼の最上の晩餐。
禁断の名画がデジタル・ニューマスターでDVD化!特典として日本公開当時のプレスシート(縮小復刻版)を封入!!
「赤い靴」や「ホフマン物語」で知られるイギリス映画界の巨匠マイケル・パウエルが1960年に製作した異常心理スリラーの傑作。だが、当時としてはその描写と題材があまりにも過激すぎたため映画は抹殺され、パウエル監督も映画界から遠ざかることになってしまう。しかし海外では公開時からカルトムービー化しており、近年になってはヒッチコックの「サイコ」と並んで、サイコ・スリラーの原点であるという再評価がなされている。事実、1998年には日本でもリバイバル上映され、多くの映画ファンを魅了した。
【ストーリー】
心理学者の息子であるマークは幼い頃、恐怖が人間に与える影響について、父親から絶えず実験をされていた。度重なる実験は、マークを次第に狂気の淵に追いやっていった。やがて成長したマークは、女性の表情をカメラに収めることに執着するようになる。そしてついには、死の間際の表情を撮りたいと熱望するに至る……。
【商品情報】
出演■カール・ベーム/モイラ・シアラー/アンナ・マッセイ/マキシン・オードリー
監督・製作■マイケル・パウエル/原案・脚本■レオ・マークス/音楽■ブライアン・イースデイル
本編102分/音声1.英語モノラル/字幕(日本語字幕)/スクイーズビスタ(1.85:1)
【映像特典】オリジナル劇場予告編
【封入特典】1961年公開時プレスシート復刻版
【品番】STDF-0002
登録情報
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 梱包サイズ : 18.03 x 13.76 x 1.48 cm; 83.16 g
- EAN : 4515940000080
- メディア形式 : DVD-Video
- ASIN : B000I2IZAC
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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「娯楽=他者の不幸を楽しむこと」という残酷な法則を
世に示してしまった究極の過激作であります。
(本作の運命こそが「正直者は馬鹿を見る」事の
証してあるという点も見逃せません。)
同年の「サイコ」と並ぶ、猟奇スリラーの先駆的名作です。
快楽殺人鬼を主人公に据え、当時はアンモラルと酷評されたものの、20年後に再評価されました。
カメラマンのマークは幼少時、生物学者である父の実験台として、虐待まがいの仕打ちを受けていた。
そのトラウマから異常な欲求に駆られ、スナッフ映画を作ろうと殺人を繰り返す。
そんな折、図書館員ヘレンと知り合い、惹かれ合うが・・・・というお話。
秀逸なのが、刃を仕込んだ三脚という、凶器のアイデアです。
槍状になっている1本を水平に起こせば、まさに男性自身の象徴となります。
それで女性を刺しながら撮り、フィルムを自室で観て、ハアハアしちゃうマーク。なんて不憫な男・・・・。
こんなキチ〇イですが、一応主人公だけに、普段は真面目な好青年。
彼が視点人物であることで、観客もまた倒錯の世界に巻き込まれるのです。なるほど、アンモラル。
もっとも、古い作品だけに、映像的にはかなり地味です。
暴力描写を全く見せないヌルさで、これでは現在の観客は、ハアハアできません。
今となっては、むしろ上品なクラシックというべきでしょう。
恐怖映画としては物足りないけれど、心理サスペンスとして観れば、充分に楽しめます。
ヘレンの母(盲人)とマークの問答など、実にスリリング。
そして、マークとヘレンの悲恋は泣かせます。ヘレンは本当にいい子。
最初の殺人を犯す前に、彼女と出会っていれば、あるいは・・・・と思わずにはいられません。
一般に言うところの「残酷シーン」など、ただの一カ所も出てきません。
しかし公開当時評論家からは「映画界の恥部」「残忍なだけの無価値な作品」「トイレに流すべき低俗な代物」・・・等、
およそ思いつく限りの酷評を投げつけられ、観客からも嫌悪され、監督のキャリアを完全に絶ってしまった作品です。
映画を撮り公開するという行為は、言わば自分の精神世界(そこには誰もがなにがしか持つ精神の歪み、闇が入り混じる)を
不特定多数に晒すという意味で最低の娼婦に比すべき行為ではないか?
そうして出来た映像を楽しむという行為(そう、このDVDを鑑賞する我々が現に行っていること)は、
絶対安全な地点から他人が怯え、殺されていくのを窃視して楽しむ最低の PeepingTom と同じではないか?
そんな、映画そのものに対する背徳性・危険性を真っ向から投げかけてくるような作品です。
1960年公開当時に集団ヒステリーじみた拒否反応を引き起こして抹殺され、20年後にマーチン・スコセッシが発掘再公開するや
大絶賛されて「失われた名作」と位置づけられた理由がよくわかります。
多分今このDVDを鑑賞された方の好き嫌いもはっきり分かれるのではないかと思うので、
購入検討されている未見の皆さんは考慮しておいた方がよいでしょう。
なお「リメイクされたら新作を見よう」とか「より自然に近い画質のBDになったら購入しよう」というような期待はしないほうがよいと思います。
イーストマンカラーのケバい色調の、少し粗めのザラっとした画質でこそ妖しい輝きを放つ、そんな映画です。
確かにこの作品には低俗趣味的な部分は多々ある。新聞販売店の2階にヌード写真撮影所があったり、新聞販売店でヌード写真を秘密に販売したり、性的な欲望に対する描写が多々ある。特に前半で顔に傷を負った女性に興奮する主人公は異様な感が強く当時のイギリス社会には受け入れられなかったのだろう。
しかし、カメラからのぞいたような映像は奇抜で、映画を観ているものが主人公の覗き趣味的な感情とシンクロする趣向になっているところは斬新(シロクロ映像は生なましいのだが)。特に映画始まってすぐの殺人の描き方は素晴らしい。そして、恐怖感を多いに盛り上げる音楽も最高。
ラストであらゆる音声を流しながら死を写真撮影と真正面からの動画撮影するシーンは異様感満点で最近の残酷映像満載のホラーにはない恐怖を醸し出しており最高に良かった。
ただ、過去のトラウマを説明するシーンが短絡的だったり、ラストに向けた主人公の行動が意味不明だったり、折角冒頭で主人公と警部を対峙させているのに後半に全く繋がっておらずサスペンス的な要素が全く欠落しているところなどストーリー展開の面で残念な部分が多い。
殺された人たちが今まで見たこともない恐怖の表情をしていたところは「リング」の設定にも似ているし、恋人の母親が盲目で霊感めいた能力で主人公の邪悪さを察知するところなども後の作品に影響を与えているところは多いと思う。
作品としては個人的には粗が気になるので★3つとしますが、DVDとしては収録されている出演者やこの作品の版権を買い取ったマーティン・スコセッシ等による解説がなかなか面白かった。この20分弱の解説は儲けものでしょう。
しかし、流石はマイケルパウエル(赤い靴etc)。構図やカメラワークが上手いんですね。凡人が作った作品なら消えてるでしょうが、天才が作ったからこそまだこうやって再販される。
興味を覚えたら見てみるといいと思います。
映画監督志望の人や漫画家志望の人にもおすすめです。勉強になると思います
メニュー画面には、チャプターあり。音声・字幕の選択は不可。
DVDジャケットは、モノクロですがカラー作品。
ドキュメンタリーによると、当初の構想では、主役は別のある英国人俳優の名前があがっていたこと、主役の幼少期を演じた子役がパウエル監督の子息だということ、出演者の数々の証言があり、大変興味深いものでした。
公開当時は、批評家による酷評の嵐で、いったんは闇に葬られた作品ですが、復活を遂げ再評価された経緯が、ドキュメンタリーで語られています。
公開時よりも現代の方が、異常心理に基づく事件が日常茶飯事に起きているからこそ、映画で描かれている世界に一層リアリティーを感じられ、恐怖心を煽られました。
ハンサムでノーブルなイメージを持つ、孤独で内気な青年(カール・ハインツ・ベーム『プリンセス・シシー』)が主人公。青年は少年期に、科学者である父の研究材料にされたトラウマをもち、邪悪で病的な恐ろしい欲望の虜になった男性。
「赤い靴」のヒロインだったM・シアラー演じるビビアンが、迫りくる危機を全く意に介さず踊るモダンダンスは、まさに「死の舞踏」。
軽快なリズムにのって、軽やかなステップを踏む姿を見つめながら、綿密に着々と計算をして準備を進める青年の冷徹なまなざし、非情なカメラのファインダー・・・ゾクゾクとするような緊張感と恐怖感をもたらします。
残念に思ったのは、刑事による捜査展開を描いたサスペンス部分。
それでも、視力を失っているがゆえに鋭い直観力をもつ婦人の設定、孤独な青年の心の闇を描いた点は、後の映画に大きな影響を与えているように思います。
皮肉なことに世に出るのが早すぎた、一種の呪われた映画ではないでしょうか。
不安感を駆り立てるピアノの調べと共に、暗室で上映されるフィルム・・・全てを凝視してしまうのは、我々観客も一緒。
スコセッシの「芸術(映画)は邪悪だ」という言葉がありましたが、映画製作者だけではなく、実は観客も邪悪で背徳的な共犯者なのかもしれません。
俳優では主演のカール・ハインツ・ベーム(ロミー・シュナイダー主演「プリンセス・シシー」の皇太子役)と被害者を演じるモイラ・シアラ(子供の頃から何度も教育テレビで観た同じパウエル監督による「赤い靴」のヒロイン)コンビが、本作と良く比較されるヒチコック監督「サイコ」の元青春スター:アンソニー・パーキンスと往年の名娘役ジャネット・リーと同じく昔日のネームバリューを反転させた意外性の有る配役で興味をそそります。特にベームは汚れ役ながら観客の同情・共感を呼べる繊細な演技が見事です。
連続殺人者物として主人公がだんだん己の欲望に抗しきれなくなり、身近な人物を獲物に選んで破滅の道へ至る過程が上手く描かれています。
個人的にはトマス・ハリスの小説「レッド・ドラゴン」の設定が今作とかなり被る事の発見と、ヒロインのアルコール依存症の母親役がフィクション中に良く表れる鋭敏な感覚を持った盲人として恐ろしげに描かれている点が印象に残りました。
酷評された公開当事のフィルム時代は秘密の映像アーカイヴを持とうとすると主人公の様に財力と映画技師としての特別な技量を必要としましたが、映像を集め観る事の手段と誘惑が遥かに多い現代の方が主人公に共感出来る人間が多いのかもしれません。名作です。