テーマはポーランドとフランスのベロニカ。
ドッペルゲンガーだけど、ちょっと違うのはポーランドのベロニカが人生を先に生きてること。
自覚は完璧じゃないけど、どちらも何かは感じている。
とにかく凄いのがポーランドのベロニカが歌う歌の歌詞
「私は先に進むけどあなたは私を追ってはダメ」と
あまりにも美しい音楽の中で、もう一人のベロニカに訴える。
自らの運命は何も知らぬままに。
そしてポーランドのベロニカは心臓病で死ぬ。
知ってはいなかったけど自分のドッペルゲンガーに歌で伝える。
そしてフランスのベロニカは歌を辞める。
この映画で凄く感動したのは、ポーランドのベロニカの方は「もう一人の私」であるフランスのベロニカがいることを知っていたことを
フランスのベロニカが後から気づくシーン。
フランスのベロニカが何気なく撮った観光写真に、自分を見据えているもう一人の自分を見つける。
この人が予知を送っていたから自分が生きていること、この人はもういないことを知る。
人が生きているということが、もしかしたら観念の世界であって実存とは言えないのじゃないかとか
逆に、自分のドッペルゲンガーが本当に存在するんじゃないかとか
確かに考えさせるけど、何よりも音楽が苦しいほど素晴らしく映像の砂っぽい異国感や
イレーヌ・ジャコブの悲しいファムファタール的な凄まじさが衝撃的でした。
ものすごく昔に観て、フランス文学科に入っちゃたきっかけになった映画でした。
音楽が本当に素晴らしいです。