このCDにたどり着く方は演奏に関しては既にご存知でしょうから、触れる必要はないと思いますので、音質に焦点を当てます。
他レーベルのCDで既に持っていましたが、パブリックドメインとしてネットに転がっているmp3をいろいろ聞き比べて、音質にばらつきがあり、わたしの所有CDよりも実在感のある音源があったことから、もしかしたらノイズリダクションをかけなければもっといい音で鳴るのかも、との期待を込めて当CDを求めてみました。
ヒスノイズはそれなりにありますが、聴いているうちに気にならなくなります。一方、それだけ音をいじっていないので、実在感は秀でています。既出の音源はこの音源に比べるともやっとして霧に包まれたような印象を持ちます。わたしが特に感銘を受けたのはヴィオラ、チェロあたりの中音域の音色で、表情豊かで分厚く美しい音がします。木管楽器も美しい響きがします。当時のウィーンフィルが本当にすばらしい演奏能力を誇っていたこと、この年代とは信じられないほどにその音が記録されていたことに驚かされます。
ただし、ちょっと高音域を強調しすぎで、ヴァイオリンや金管楽器がきつめに聴こえるように思えて、それが難点です。あるいはそれが当時の録音技術の限界を示しているのかもしれませんが・・・。
いずれにしろ、実在感が増したことで、今まで以上にこの演奏が表情豊かですばらしい演奏であることに気づき、この演奏の魅力を再認識しました。