音楽の感じ方は人それぞれだが、近年のロックの多くはは牙を抜かれたように
感じ,昨今の作品はつまらないものと思える作品が過去の作品に比べて多い。
売上主義の産業的な音作りや大衆に迎合し、模倣、自己満足に尽きる駄作が
目だって増えてきたのではと感じるが,このミスターシリウスのダージは
突き抜けた情景描写,難解ながら極めて美しい旋律とそれらの緻密な楽曲の
構成を破綻なく演奏しきってゆく演奏技術、ヴォーカルの歌唱技術など
今の音楽界のアーティストが失った(抜かれた牙に例えられるもの)の多くを、
たとえば演奏技術しかり、またはメロディーの本質,陳腐な物まねで終わらない
演奏家,音楽家のプロとしての探究心をすべて有する稀有な音楽作品であり,
全て芸術作品と行き来手に言わしめるだけの粋に達している作品である。
多くのアーティストの影響はこの作品にもあるのは違いないことだが,
模倣で終わらず,物にして練り上げて個としての完成度を確立している。
日本の,今のシーンでロックだといわれている作品の全てではないが
その殆ど数多くは足元にも及ばないだけのレベルにある。
音楽の姿勢とスピリットが詰まっているこのようなバンドの音楽を
埋もれさせるという愚行を音楽界は行っているが,それは
きわめて重大な損失で犯罪的である。
ロックファンはもちろん,音楽が好きな方はぜひ聴くべきである作品と
断言し,ダージのレビューを終わりとする。
その旋律に打ち震えて欲しい。
このアルバムにはロックの何たるかが全て詰まっているのだから。