引越魔のため、身近に多量の本を置かないという著者。
「それでも永年摂取しているから、コレステロールのように溜ってくるものがある。外国から取り寄せた本や、二度と手に入らなそうな本等である。見るだにそれがうらめしくてならぬ。近所に完備した図書館があれば、こんな思いをしないで、さっさと寄付してしまいたい」
初読時から共感したところだ。
もう一ヶ所、「他人の日記」から引用する(以下全て)。
「めまぐるしく時代が変わる日付のなかであわただしい人事が動いている。日記の面白さがそこにあるのは無論だが、しかし、時々刻々の日付や、めまぐるしく登場する人間たちが、あくまでもリアルに記されていながら、それが次々に消えたあとに大自然の変わらぬうねりが悠然と残る。そういう日記を私はとりわけ好む。
「十七日 恩重経に就ての文を草す。大工来ること如例。夕刻大雷雨。」
幸田露伴『六十日記第十』大正三年九月の記。しかしかならずしもその日付がなくてもいい。大きな時間の海のなかを巨魚のようにゆったりと動いている記述である。」(引用終わり)

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登録情報
- ASIN : B000J74GBI
- 出版社 : 筑摩書房 (1984/7/1)
- 発売日 : 1984/7/1
- 単行本 : 218ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 487,214位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2013年1月7日に日本でレビュー済み
種村季弘(たねむら すえひろ、1933年 - 2004年)は、日本の独文学者、評論家であり、ヨーロッパの異端の文化や裏面史に関する広汎な知識で知られ、幻想文学というジャンルの確立に貢献した。
彼は”私はベストセラーは買わない・・・しもじもの者に毒見させてから、おもむろに手をのばす“と豪語した。森羅万象に通じた読書家・種村季弘の”きわめつき“ともいわれる読書エッセーを集めた『書国探検記』が文庫版として復刊をした。種村ファンには待望の復刊であろう。読んでみれば、すぐわかるように、なんでもござれの書物の国のガイド・探検書です。領域は広く、賭博小説、春本・ポルノ、悪漢小説etc. etc.・・・・である。戦後の闇市の本屋で不朽の名辞典『大言海』を立ち読みした回想まである。あなたも、書物の国への冒険を体験しませんか?お薦め。
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