市立図書館でハードカバーを読んだところ、良書でした。
内容は新装版でも同じですから、手元に置いておこうと購入しました。
読む価値アリ。
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登録情報
- ASIN : B000J74J7E
- 出版社 : 岩波書店 (1984/6/25)
- 発売日 : 1984/6/25
- 言語 : 英語
- 単行本 : 296ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,727,700位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年11月26日に日本でレビュー済み
池波の真田太平記ではありません。谷崎の台所太平記でもありませんよ。吉川の現代語版でもありません。本家本元の「太平記」です。全巻40巻。岩波文庫では6巻の大著でもある太平記です。実は数年ほど前から、この太平記にどういうわけか興味が出てきて、いろいろ本丸ではなく、その周辺や外縁をうろついてきました。今年からは、最初からではないにせよ、太平記の原文を読むという大胆な営為に乗り出したところでもあります。とはいえ、さすがに長い。文章のスタイル自体には音読をしていくとそれなりに慣れてくるのだが、膨大な註の森(登山での落葉みたいなものでしょうか)に時折埋もれてしまい、踏み跡を見失ってしまいます。そうなると山からの滑落だ!
というわけで、全体像を解説している作品を探していたのですが、なかなか初心者向けのものがありません。やっと見つけたのが、この作品です。著者の作品は過去にも読んだことがあり、大向こうは狙わないものの、なかなか手堅いアプローチをする著者との印象があり、手に取りました。
ところが読み始めて驚いたことに、原作品からの引用が、今読んでいる新潮社版の表記方法とは異なり、本書では著者なりの哲学から、片仮名交じりの漢文訓読形式で行われているのです。いや、これには一瞬まいりました。漢文訓読なるもんは高校生の時の授業以来です。もう読み進めるのはやめようかの思いも頭をかすめたのですが、ペースを上げることなく、ゆっくりと読み進めていると、何となく慣れてきたのです。
この作品は全体の構成がよく考えられています。まず太平記の「五不思議」を再提示して、構想・全体像を与えてくれます。そしてそこからは、太平記の中心人物、後醍醐天皇、大塔宮、楠正成、足利尊氏、新田義貞から高師直までが個別にその特徴と役割が取り上げられています。もっとも直義が含まれていないのは不思議ですが。そして人物の後には、太平記を特徴づける思想の抽出とその変質と機能不全による袋小路というテーゼが呈示されます。思想の行き詰まりの後には、怨霊が復活し、溢者 (あぶれもの)、落書きが横行し、そして下剋上が時代の基調となるというわけです。もっとも本書の最後となる「太平記の終焉」では、著者なりの明確な結論は提示されずに、読者にその難題は戻されてしまうという見事な「締めくくり」となっています。
というわけで、全体像を解説している作品を探していたのですが、なかなか初心者向けのものがありません。やっと見つけたのが、この作品です。著者の作品は過去にも読んだことがあり、大向こうは狙わないものの、なかなか手堅いアプローチをする著者との印象があり、手に取りました。
ところが読み始めて驚いたことに、原作品からの引用が、今読んでいる新潮社版の表記方法とは異なり、本書では著者なりの哲学から、片仮名交じりの漢文訓読形式で行われているのです。いや、これには一瞬まいりました。漢文訓読なるもんは高校生の時の授業以来です。もう読み進めるのはやめようかの思いも頭をかすめたのですが、ペースを上げることなく、ゆっくりと読み進めていると、何となく慣れてきたのです。
この作品は全体の構成がよく考えられています。まず太平記の「五不思議」を再提示して、構想・全体像を与えてくれます。そしてそこからは、太平記の中心人物、後醍醐天皇、大塔宮、楠正成、足利尊氏、新田義貞から高師直までが個別にその特徴と役割が取り上げられています。もっとも直義が含まれていないのは不思議ですが。そして人物の後には、太平記を特徴づける思想の抽出とその変質と機能不全による袋小路というテーゼが呈示されます。思想の行き詰まりの後には、怨霊が復活し、溢者 (あぶれもの)、落書きが横行し、そして下剋上が時代の基調となるというわけです。もっとも本書の最後となる「太平記の終焉」では、著者なりの明確な結論は提示されずに、読者にその難題は戻されてしまうという見事な「締めくくり」となっています。
2004年6月14日に日本でレビュー済み
長大な『太平記』のエッセンスのみを吸い出し、その面白さをちらっと垣間見せてくれる良書。私は『太平記』は未読ですが、読後猛烈に読みたくなったことが何より良書である証明。
ということは、『太平記』を読んだことのある人にも十分に納得できる内容だろうと思われます。
ということは、『太平記』を読んだことのある人にも十分に納得できる内容だろうと思われます。