戦後、日本が経済大国となる道を
「選択」せずに、映画大国、そして
軍隊を持たない、経済的には中位の国として
の道を歩んでいたら・・・・
そんな映画大国日本における
エリート脚本家が
自分の人生を
「こんなに幸せであってもいいのか?」
と疑問を抱く。
そして彼がとりつかれた「悪夢」・・・
それは、何事よりも経済を優先させる道を
選んだもう一つの、あり得た日本の姿だった・・・・
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
美芸公 (1981年) 大型本
英語版
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。
1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2008年4月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
うっとりするような豊かで知的で素晴らしい世界。そこに浸れば浸るほど現実の醜さが際立ちます。
2008年5月23日に日本でレビュー済み
演劇志望だった筒井が、「もし戦後の日本が経済大国ではなく映画大国への道を進んでいたら」と言う仮定の下、その映画産業に係る人物や状況を詳細に綴ったもの。筒井の夢を小説の形で実現した誇大妄想小説とも取れるし、戦後日本への風刺小説とも取れる。
美芸公とは、その名の通り美しく気高い芸を魅せる映画界の主役。世襲制ではなく、実力本位で代々継がれる。作中には、前美芸公も登場する。そして、この世界では役者は勿論、登場する人物が全て良い映画を作るために活動している。筒井の演劇・映画に対する愛情が滲み出ている。役者は映画の中で役を演じる際、その役柄の職業を本職さながらに勉強し身に付ける。筒井が持つ役者のあり方の理想像を反映しているのだ。炭鉱を舞台にした映画では、落盤事故が起こった際、勉強を積んだ美芸公や前美芸公を中心に本職さながらの対応をして、見事にピンチを切り抜ける。
こうして見ると、現代の映画人だけではなく、職業を持ってはいるが真の意味で自身の職業を愛していない一般人全体への批判が込められているようにも思える。筒井の理想と批判精神が味わえる秀作。
美芸公とは、その名の通り美しく気高い芸を魅せる映画界の主役。世襲制ではなく、実力本位で代々継がれる。作中には、前美芸公も登場する。そして、この世界では役者は勿論、登場する人物が全て良い映画を作るために活動している。筒井の演劇・映画に対する愛情が滲み出ている。役者は映画の中で役を演じる際、その役柄の職業を本職さながらに勉強し身に付ける。筒井が持つ役者のあり方の理想像を反映しているのだ。炭鉱を舞台にした映画では、落盤事故が起こった際、勉強を積んだ美芸公や前美芸公を中心に本職さながらの対応をして、見事にピンチを切り抜ける。
こうして見ると、現代の映画人だけではなく、職業を持ってはいるが真の意味で自身の職業を愛していない一般人全体への批判が込められているようにも思える。筒井の理想と批判精神が味わえる秀作。
2013年1月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昔文庫本を読んだ時に受けた衝撃は忘れられません。アートがまつりごとの物差しとなる世界...憧れます。衝動的に横尾忠則の挿絵つきで読みなおしたくなりハードカバー版を購入しました。
2006年5月11日に日本でレビュー済み
昭和ひとけたの筒井康隆は、この世代に特有の「教師をはじめとする権威は信じない」
「天皇を頂点にする権力は一切きらいである」と思っているように感じていた。
他の作品やエッセイを読むとそのように読めたのだが、戦後の日本も嫌いだったのだろうか?
これは確かにユートピア(本来のトマス・モアの「ユートピア」はとんでもない管理社会だが)の物語だが、
なぜ筒井康隆がこれを書いたのか?昭和一桁の人間は周りをみる限り、
戦後日本社会を肯定している人が大部分だが。
筒井康隆の不思議な一面をみせる作品だと思う。
「天皇を頂点にする権力は一切きらいである」と思っているように感じていた。
他の作品やエッセイを読むとそのように読めたのだが、戦後の日本も嫌いだったのだろうか?
これは確かにユートピア(本来のトマス・モアの「ユートピア」はとんでもない管理社会だが)の物語だが、
なぜ筒井康隆がこれを書いたのか?昭和一桁の人間は周りをみる限り、
戦後日本社会を肯定している人が大部分だが。
筒井康隆の不思議な一面をみせる作品だと思う。
2018年2月15日に日本でレビュー済み
昭和57年以来、何度も何度も読み返しているが、飽きない。読むたびに感動し感心する。
筒井さんの本は全部(たぶん)持っているが、捨てて整理しようなどとはまったく思わず、
むしろ同じ本を新しく買おうと思っている。
しかし、こんな設定をよく考えついたなあ。構成といい、ちょっとした言い回しといい、
筒井さんはすごい。
筒井さんの本は全部(たぶん)持っているが、捨てて整理しようなどとはまったく思わず、
むしろ同じ本を新しく買おうと思っている。
しかし、こんな設定をよく考えついたなあ。構成といい、ちょっとした言い回しといい、
筒井さんはすごい。
2003年8月8日に日本でレビュー済み
終戦後、日本が映画立国として発展していった世界の物語。その中で頂点に立つのは、すぐれた人格と演技力を持つ者しかなれず、美芸公とよばれている。
そのブレーンの一人、映画プロデューサーが主人公なのだが、主人公が学生たちに向かって、美芸公の「孫悟空」での演技説明をするところは、おもわず唸ってしまう。また、映画立国なので政治家の力が弱いところも、喝采をあげてしまいます。ところが、ある日主人公が映画のアイデァを思いつきます。今の世の中は、映画が根本にあるが経済が根本になる社会になってしまう可能性もあったのではないか?と。そうです、現実の日本の世界になる可能性を主人公は思いついたのです。後半部は、ブレーンたちとその着想に対して議論が続き、いやな世の中だな、と衊??もが暗い気分になってしまう・・。そして、主人公は・・。ラストの主人公のセリフは、見事です。
この本の中で、主人公が幸せであればあるほど、現実の世界で、本来あるものが失われた事を気づかせてくれるかもしれません。
もちろん、横尾 忠則 による表紙、挿絵も見事です。この本は、是非文庫ではなく、単行本で読むのをお薦めします。
そのブレーンの一人、映画プロデューサーが主人公なのだが、主人公が学生たちに向かって、美芸公の「孫悟空」での演技説明をするところは、おもわず唸ってしまう。また、映画立国なので政治家の力が弱いところも、喝采をあげてしまいます。ところが、ある日主人公が映画のアイデァを思いつきます。今の世の中は、映画が根本にあるが経済が根本になる社会になってしまう可能性もあったのではないか?と。そうです、現実の日本の世界になる可能性を主人公は思いついたのです。後半部は、ブレーンたちとその着想に対して議論が続き、いやな世の中だな、と衊??もが暗い気分になってしまう・・。そして、主人公は・・。ラストの主人公のセリフは、見事です。
この本の中で、主人公が幸せであればあるほど、現実の世界で、本来あるものが失われた事を気づかせてくれるかもしれません。
もちろん、横尾 忠則 による表紙、挿絵も見事です。この本は、是非文庫ではなく、単行本で読むのをお薦めします。
2003年7月15日に日本でレビュー済み
映画が日本の基幹産業となっていたら?
この「もしも」に端を発した長編小説。
著者の映画への愛着も随所に感じられ、
読んでいて気持ちいい作品だ。
時折はさまれる横尾忠則の映画パンフレット(!)
も魅力のひとつ。
惜しくも文庫版では削られてしまっているが…。
この「もしも」に端を発した長編小説。
著者の映画への愛着も随所に感じられ、
読んでいて気持ちいい作品だ。
時折はさまれる横尾忠則の映画パンフレット(!)
も魅力のひとつ。
惜しくも文庫版では削られてしまっているが…。