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登録情報
- ASIN : B000J9B3R6
- 出版社 : 岩波書店 (1975/12/19)
- 発売日 : 1975/12/19
- 単行本 : 532ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,282,773位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年2月19日に日本でレビュー済み
本書は、南原繁、バルト、ヴォルフを師と仰ぐ著者が、ドイツ語圏を中心とする20世紀プロテスタント倫理思想の展開に即して、政治と宗教倫理の内面的折衝を、神学と政治学・社会学の観点から究明しようとした、1975年刊行の本である。キリスト教は、世俗化の過程に関与しながら、まさにそれゆえに自己の存在意義を問われることになった。第一次世界大戦後の精神的危機の中で生まれたバルトらの弁証法神学は、絶対他者である神の主権を原点として強調し、根源的な終末論的留保の下で、究極以前のもの(世俗世界)の聖化を拒否し、それを即事的に見るべきことを主張して、世俗化に対処しようとした。ここから神学と社会科学との対話、政治・社会運動へのキリスト者の批判的連帯が模索され、神の言葉をその時々の状況の中で解釈する道が開かれる。まもなくナチ政権が成立する頃から弁証法神学内部の不一致が露呈する中で、バルトは「二つの王国」論に基づく保守的な神学を批判し、キリストにおける神と人との和解を基軸に、政治に対するキリスト者の共同責任の倫理を展開する。彼の神学は多くの批判を受けながらも、その後の神学に大きな影響を及ぼし、今やキリスト者は大衆デモクラシー、社会主義国との関係、戦争と平和の問題などのこの世の諸問題から、目を背けることができなくなった。特に1960〜70年代には、エキュメニカルな教会同士の交流の中で、キリスト者は南北問題や社会革命の問題とも向き合うことを余儀なくされ、その中で暴力と非暴力の意味が、倫理問題として鋭く問われている。著者は抽象的なドグマを回避しつつ、その都度の状況を即事的に分析することによって、キリスト者が地道に世俗における使命を果たすべきことを、これらの諸問題に関する論点の紹介によって、主張している。専門的で、ややバルト擁護の傾向が強いが、鋭く堅実な研究である。