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ギリシャ棺の謎 (1959年) (創元推理文庫) 文庫

3.8 5つ星のうち3.8 11個の評価

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B000JAS3OG
  • 言語 ‏ : ‎ 英語
  • カスタマーレビュー:
    3.8 5つ星のうち3.8 11個の評価

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上位レビュー、対象国: 日本

2016年12月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読者への挑戦状が存在しフェアな内容。個人的にはエジプト十字架の方が好きだが、こちらの作品も謎が多く散りばめられていて読み応えがある。遺言状、絵画など本格推理的ガジェットが際立つ点も評価。
2005年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 国名シリーズで最も優れているのは、やはり「エジプト十字架」じゃないでしょうか。
 「ギリシャ棺」は引用癖が煩わしいというよりも、話の展開が面白くなかったですね。長さの割に展開のスピードが遅く退屈でした。
 トリックや犯人の意外性もイマイチ驚くほどでもなかったです。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2009年6月20日に日本でレビュー済み
本書は前作「オランダ靴の謎」と次作「エジプト十字架の謎」とともに、国名シリーズベスト3と名高い作品。

前作「オランダ靴」では完璧な論理を見せたエラリーだが、本書ではすぐにその推理を覆す事実が発覚し、若さゆえの未熟さを何度も露呈している。つまり本書はバークリーの「毒入りチョコレート事件」の流れを汲むいわゆるアンチ・ミステリーなのだが、このアンチ・ミステリーというやつ、推理の論拠の解釈によって解決が変わってくるというシロモノで、推理小説の知的パズル要素を否定されているみたいで好きになれない。いったい何でロジックの鬼であるはずの作者がこのような作品を書いたのかと思う。

もしもこれが、例えば個々の推理の前に「これまでにエラリーに与えられたデータは、等しく読者にも提供されている。したがって、これらのデータをもとに行われる推理はエラリーと読者諸賢では同一のものであるはずである」と、「読者への挑戦状」を差し挟んでいれば、本書のパズル小説としての評価はまた違ったものになったかも知れないが。

それと、個々の推理に関しても「オランダ靴」で見せた完璧な論理ほどのものではなく、穴やこじつけというかそれはムリだろうという点もいくつか見られ、国名シリーズ最高傑作と評される理由がわからない。それに、とにかく冗長で読むのがしんどい。何度挫折しかけたことだろう。

私なら国名シリーズベスト3には本書の替わりに「フランス白粉の謎」か、推理作品としてはイマイチだがストーリーの面白い「シャム双子の謎」の方を推す。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2012年11月25日に日本でレビュー済み
エラリークイーン国名シリーズの中でも一際異才を放つ作品。大学を出て間もない生意気な若造といった感じのエラリーが挑むのはニューヨークの墓地の中から発見された殺人死体。作者のクイーンは「オランダ靴」で到達したクイーンロジックの極みをさらに越えようとしたため今作のような作品を書いたのだろう。そのためクイーン作品初心者にはあまり、オススメできない。クイーン作品をある程度読んで(最低でも国名シリーズ、悲劇四部作を三冊以上)本書を読んでない読者には是非とも読んで欲しい。ロジックの極みを越えようとしたクイーンの技をご堪能あれ。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2010年3月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 国名シリーズの第四作。大学を出てまもないエラリーが悪魔的な怪事件に挑む。名探偵の存在意義に対する矛盾は、後期のクイーン作品に
濃厚に顕れていますが、本作においてその先鞭はすでに存在しているように感じる。探偵小説のリアリティにおいて神の叡智を持つ探偵役。
しかし、残された手がかりから推論を組み立てる探偵の裏をかいて、悪魔的な意図をもってして偽の手がかりを故意に残したケースを題材と
しているのが本作の特徴だ。
 それ故に、この一作でエラリーは自我の虚栄心とも相まってとことん犯人に手玉にとられて苦境に追い込まれてしまう。やっとの思いで、
推論を完成形に仕上げたと思えば、実はそれは土台からてんでまがいものに過ぎなかったと粉砕されてしまう。真相に辿り着くためには、
何層もの障害物を乗り越えなければならず、とても深遠なのだ。
 だが思うに、そこに一種の哲学を感じてしまう。というのは、名探偵の代名詞といえるホームズの登場に続いて雨後の筍のように出現した
名探偵連中。そしてそれを忌避する姿勢で出現した所謂足で稼ぐタイプ。その100か0の極端なところに留まらず、あくまで名探偵に人間性を
与えた点においてクイーンは本質的に斬新だった。
 ただ同時に歪みをきたすのもまた事実。名探偵を解剖する過程において、名探偵を超える悪魔的な頭脳が必要なのだ。よって本作の犯人は
やたら頭が良い。あまりに良い。。その観点から見れば、この謎物語は論理的にはフェアだが、謎解きしたい読者にとっては愉しみに欠ける
のかもしれない。つまるところ、本質的に突き詰めれば神と悪魔の境界線なんてなくなってしまうの。。そんな皮肉まで愛せるだろうか?
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2019年5月1日に日本でレビュー済み
十代の頃読んだ時は推理小説の最高峰で他作品を全く寄せ付けないほどの究極の完成度があると感激した記憶があるが、六十代となって他のクイーンの作品を読み直すと人間の描き方が稚拙である事に気づきがっかりしていた。本作が重厚で難解であった事は記憶していたので再読するにはかなりの覚悟が必要と思いしばらく敬遠していたがこの10連休を使って何とか読破しようと紐解いた。

犯人は覚えていたので伏線や人物描写、謎解きの論理性等に注目しながらじっくりと読んだみたが、感想はやはり謎解きゲームとしてはその重厚さ、複雑さという点で究極を実現しているがあくまでも机上のものでしかなく、現実の生きた人間ドラマとしては物足りなさを感じた。登場人物にも魅力が感じられない。特にクイーン警視等捜査陣の弱者に対する高飛車で見下した言動には幻滅した。これがアメリカ社会の現実あるいは常識なのかもしれないが、せめて若きエラリーは弱者を思いやるような優しさを見せてほしかった。

犯人がわかっている状態で読んでみると確かに伏線は普通に張られているが感銘を受けるようなものではない。また論理の妥当性であるがこれも他の方も指摘されているように共犯説を否定する説明に説得力が無い。3つの茶碗や2つのタイプライタ等を使った一見論理的と見える説明もよく考えると強引あるいは荒唐無稽でありそれを証明として言い張る姿はむしろ滑稽という感もある。クイーンの論法は数学の証明問題を解くかのような厳密な演繹的説明になっているが、それがかえってこじつけのようで幻滅してしまう。ここは真相を裏付ける状況証拠の一つとして帰納的に軽く説明したほうが真実味があり格調も高くなったような気がする。

事件や人間関係だけを考えると平凡であり外面的には犯罪としての凶悪さもあまり感じられない。その割には捜査陣の議論の部分が濃厚で全体的には冗長感がある。ただ前半の事件発生場面やエラーが推理を述べる場面は緊迫感があり引き込まれた。それ以外、特に証人尋問の場面はヴァン・ダインの作品等と較べると洗練されたものが感じられず興ざめすることがしばしばであった。動機も簡単に述べられているだけであるが犯人の心理面を考えるとかなり複雑なものが想定できるのでこの点でも不満が残る。また、ロマンスは蛇足であり友情レベルで余韻を残すだけの方がよかったのではなかろうか。

十代の頃に初めてクイーンを読んだ時はその演繹的な推理手法に感激し推理小説とは数学の証明問題を解くようなイメージで読むものと思い込んでいたが、その後それはやはり味気ないと思い直していた。最近では本作を含めクイーンの他作品を再読するにつれむしろその手法はそもそも無理があり、やはり従来の帰納的な推理手法とそれを裏付ける地道な証拠集めが本来の姿であろうと思うようになった。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2008年8月13日に日本でレビュー済み
 クイーンの国名シリーズの最高作といっていいと思います。

 ただし、誰が読んでも面白いという作品ではないと思うのです。パズラーの教科書といってもいい「オランダ靴の謎」、論理的解決など不可能ではないか?と思わせる連続首切り事件を些細な証拠から解体してみせる「エジプト十字架の謎」が万人受けする作品だとすると「ギリシア棺の謎」はマニア好みの作品なのです。

 名探偵と同等いやそれ以上の知力を持った犯人が「こいつならこんな具合に推理するに違いない」と偽の手がかりをバラマキ探偵を翻弄する。いわば、神懸かり的な知性を持った盤面の敵を相手に名探偵エラリーが散々翻弄される物語なのです。もっとも、古くから偽の手かがりをばらまく犯人が登場する探偵小説はあったし、現実の世界の犯罪においてもそうしたことをする犯罪者はいるでしょう。ただ、この小説が異常なのは、プロの警察でも気付かないような・・・まさに名探偵エラリーの卓越した観察眼、緻密な演繹的推理を用いなければ、手がかりともいえない手がかりをばらまく犯人が登場する点にあるのです。「こんな犯罪者がいるわけない」、「リアルティがない」と言う中傷がささやかれるパズラーというジャンルのなかでもある意味、極北の犯人が登場といった具合でしょうか?さらにクイーンの国名シリーズはあくまで現実に起こった事件の記録という体裁とった小説である分・・・ます、ます変な具合になってくる。

 そもそもそうした犯人を演繹的推理で追い込む事は可能なのか?どれが本当の手がかりでどれが偽の手かがりかどうやって判断するのか?パズラーの持つ弱点を浮き彫りにしていくのです。

 はたして、この成果は??正直に言うと作者クイーンの意図は完全には達成できたとは思えません。最後に明かされる真相すら「それが、偽の手がかりによって導かれたのでないとどうしていえる?」という疑問がないわけでない。

 とはいえ、やはり、この作品は傑作だと思います。「オランダ靴の謎」「エジプト十字架の謎」がいわばパズラーらしいパズラーの傑作だとしたら、「ギリシア棺の謎」はパズラーの枠組みを逸脱しながら(作者は無自覚かもしれないが・・・)尚かつパズラー以外の何者でもない希有な作品なのです。しかも、歪な部分があるとはいえ完成度は極めて高い。

しかしながら、あくまでマニア好みの作品だと思います。クイーンを最初に読む場合、本書はおすすめできない。しかし、パズラー好きを自認するなら必読の書だと思います。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2006年11月25日に日本でレビュー済み
国名シリーズ中で、「オランダ靴」、「エジプト十字架」等と並ぶ代表作にして最長編作。時間を巻き戻して若き日のクィーンの活躍を描いている。若さ故に失敗を重ねる探偵クィーンを描くという趣向と共に、それだけの難事件を案出して見せるという作者の自負もあったのだろう。

冒頭におけるクィーンの予想を越えた死体出現から始まって、クィーンは犯人に翻弄され続ける。こうした犯人との知恵比べが本作の見ものであり、前半のクィーンの苦闘ぶりが微笑ましい。1つ々々の事件に工夫が凝らしてあるので、全体の分量が多くなるのは止むを得まい。各事件が全体の構成上、パズルのピースに嵌るように造形されているのも、クィーンなら当然とは言え見事である。

犯人に押されっ放しだったクィーンは結末に到って逆襲に出て得意の推理を披露。そして、最後に待っているものは...。若き日の苦闘するクィーンという設定を用意し、更にそれにふさわしい難事件を案出し、重層的推理で読者を魅了する国名シリーズの代表的傑作。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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