13年前の舞台なんですが、演出家に興味が出て買いました。
モー娘。は、家族にかつてのオタがいましたのである程度メンバーについて解説してくれましたが、
そうでなくても問題なく一人ずつのキャラクターが伝わってくる「良い当て書き」でした。
今のAKBとかに比べると髪型も顔立ちも違って、みんなキャラよく立ってたなあ…と。これで当時は見分けつかないとか言ってた。ごめんなさい。
内容はリボンの騎士の基本設定、男として育てられ男女二つの心(魂)を持ったシルバーランドの王女サファイア姫の物語、
そこだけ踏まえたオリジナルですが、この脚色部分が非常に良い。
原作のエッセンスを抜き出して換骨奪胎した結果、テーマの大きさ、時々出てくるユルさといった手塚作品らしさ残り、
かつ小中学生でもわかるくらい筋道が明快に整理されている。
天使チンクをなくした代わりに、その罪(よく考えるとチンクのしたことは相当罪深い)を登場人物全員が
担うことになります。そんな風に描くと重い話かと思われるかもしれませんが、モー娘。のアイドルらしさを利用してコミカルに
処理されるシーンもあり、シリアスとのバランスが取れています。
そうやって、ときどき笑いを取りながら油断した客にテーマ性の深いエピソードをぶっこんでくるので感動も倍増。
当時のモーニング娘。のために、見にくるお子様、オタクのために、全員楽しんでもらえるような仕掛けを作りながら
変に媚びた感じにならずエンターテイメントとして成立してるのがすごいです。
原作ファンとしては、ラストの神様の歌はぐっときました。最初誰のことを歌っているのかと訝しんでいたのですが…
この幸せな気持ちがあるのもあの神のおかげ。数々の作品と亡き先生を思って滂沱。
ある意味、モー娘。メンバー全員が主人公の「魂の物語」として、ラストのフィナーレまで一貫したニクイ展開はも
見事です。同年の暁のローマとある意味似てるかも。サービス精神に富んでいて、大変楽しめました。
今から見る人もあまりいないでしょうが、キムシンファンなら一見の価値あり、手塚ファンで
お子様にかわいいミュージカルを見せたい方にもおすすめです。