アーティストが自身のFavorite Songsをコンパイルする「Back To Mine」シリーズの第24弾にマーキュリー・レヴが登場。極めて広範なバラエティに富み、そして適度にマニアックな選曲が非常に面白い。
Galaxie 500/Spacemen 3/Velvets等々、ルーツとしてよく知られているアーティストの楽曲を始めとし、ジャズやブルース、カントリーに至るまで、まさしくジャンルレスな曲群が完璧に繋がれていく。中でも素晴らしい瞬間を描き出しているのが下記の3箇所。
フルートとバイオリンの織り成す澱みの中で、柔らかなメランコリーを歌うNicoの"Wrap Your Troubles In Dreams"から、一気に成層圏を抜け飛翔するMercury Revによる新曲"Cecilia's Lunar Expose"へ。さらには到達した宇宙空間にて無数のパルスが明滅し、果て無き昂揚を解き放つSpacemen 3の"Big City"へと続くTr.9〜11の流れ。
ささやくインストゥルメンタルと繊細なサンプリングに乗せて、素朴で暖かな女性ヴォーカルが紡がれるHanne Hukkelbergの"Cast Anchor"から、絶妙な「崩れ」がチャーミングな黒い磁場を型作るRandy Newmanの"Uncle Bob's Midnight Blues"へ、そして最後はなんとCliff Edwardsによる"星に願いを"で締められる。
彼らの音のルーツ探訪という目的はさておき、これほどまでに完成度の高いミックス・テープには中々お目にかかれなさそう。彼らのファンにもそうでない人にも、強くオススメしたくなるような、そんな素晴らしい1枚。