ミルト・ジャクソンのアトランティック・レーベルにおける最初の単独リーダー・アルバムとのことで、1956年の録音です。それ以前にブルーノート・レーベルやプレスティッジ・レーベルへの録音がありますので、初リーダー作品というわけではありません。曲目は、amazonの詳細欄を参照のこと。
曲によって3種の編成を使い分ける、この時代のジャズ・アルバムとしては、かなり贅沢な作りがなされているように感じます。共演メンバーも豪華なので、参考までに記しますと、
①,③,⑤
ミルト・ジャクソン…vib
ジョン・ルイス…p
バリー・ガルブレイス…g
オスカー・ペティフォード…b
ケニー・クラーク…ds
+5本の木管楽器アンサンブル
②,④,⑦
ミルト・ジャクソン…vib
バーニー・ケッセル…g
パーシー・ヒース…b
ローレンス・マーラブル…ds
⑥,⑧,⑨
ミルト・ジャクソン…vib
ラッキー・トンプソン…ts
ジョン・ルイス…p
スキータ・ベスト…g
オスカー・ペティフォード…b
ケニー・クラーク…ds
このアルバムでは1曲目に置かれているコール・ポーター作曲の「ソー・イン・ラヴ(so in love)」という曲が好きで、これが収録されているアルバムをそこそこ持っています。ピアノ・トリオでは、ハンプトン・ホーズ『ザ・トリオ vol.1』、ドン・フリードマン『サークル・ワルツ』…。管楽器では、tsとtpによるニ管クインテットの『ハロルド・ランド・イン・ニューヨーク』、ts with ストリングスの『イリノイ・ジャケー・プレイズ・コール・ポーター』…。この辺りがとても気に入っているのですが、当盤におけるミルト・ジャクソンの演奏もかなり良いと言いますか、楽器の編成からそのように感じるのかもしれませんが、上記の他者のバージョンの良さを併せ持ちながらも、深みを感じさせるクールなvibの音色が加わることにより、より一層、甘美な曲想を堪能させてくれる仕上がりになっていると思います。
「ソー・イン・ラヴ(so in love)」にばかり触れてしまいましたが、他の曲目も聴きどころが一杯です。MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)やミルトの他のリーダー作品で、彼の演奏を好ましく思っているような方に、絶対のお薦めです。