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今では余り語られなくなりましたが、「ミュージック・コンクレート」という音楽ジャンルがあります。
楽器による音楽ではなく、具体音（鳥の鳴き声や川のせせらぎ等の自然の音、機械等の人工の音）を使って創作される音楽のことです。
ファンならご存知の通り、ビートルズはその要素を取り入れた先駆的存在だと言えるでしょう。
本作は、ビートルズの楽曲そのものを基に新たに創り上げられた秀逸な「ミュージック・コンクレート」とも言える作品として、ビートルズの創造的精神に適うものだと感じました。
「シルク・ドゥ・ソレイユ」のサントラ盤として企画されたものだそうですが、勿論、音楽単体で十二分に鑑賞に堪える作品です。
出来れば、ヘッドホンで集中して鑑賞することをお勧めしたいです。
メドレー曲や曲間の繋ぎ、メインの曲の中に隠し味の様に挿入されている別の曲が、より楽しめると思います。
「そう来たか！」
沢山のビートルズナンバーをご存知の方ほど、堪能出来るのではないでしょうか。
「ハード・デイズ・ナイト」のイントロ、「ジ・エンド」のドラム＆ギターソロが重ねられた「ゲット・バック」のドライブ感。
切れ味の良い「ドライヴ・マイ・カー」「愛のことば」「ホワット・ユー・アー・ドゥーイング」のメドレー。
「グッド・ナイト」のオーケストレーションと「オクトパス・ガーデン」のボーカルという驚きのコラボ。
個人的には、これらが特に楽しめました。
コーラスパートをサンプリング的に活用してアップテンポの曲に乗せたり、大胆に再構成されたものではありますが、原曲のニュアンスは損なわれていないと感じました。
少なからずアウトテイクが使用されているものの、様々なリミックスによって完成度が高まっているので、いわゆる「デモ・テープ」感もありません。
「5人目のビートルズ」と称されたジョージ・マーチンがプロデュース（ご子息との共同）した最後のアルバム。
因みに、SPECIAL EDITION「輸入国内盤」にはお二人が書かれた序文（メッセージ）の日本語訳、制作背景、収録曲解説が記されたブックレットが付属しています。
お勧め出来る秀作です！
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