「地獄の黙示録」に舞台設定面で影響を受け、ジャングル戦争活劇として完成度の高かった「クメン編」から、突如、謎だらけの実存主義的な展開に突入する「サンサ編」の落差には、大人になってから見ても驚かされた。こんな話、子供に理解できる訳がないわな。
強迫的に反復される通称「レッドショルダーのマーチ」と過去に所属した部隊の殺戮映像にトラウマを刺激されて心身不安定となり、崩壊していくキリコ。結果、せっかく二人きりになれたのに、時に隙間風が吹くキリコとフィアナの関係が哀しい。そんな「サンサ編」の冒頭エピソード4編を収録。
たまたま、ドギツイ仕事と職場の人間関係に傷めつけられているタイミングに鑑賞していたのだが、このまま視聴を続けると鬱になりそうで鑑賞を途中で数日ためらった程、この巻に収められた話は何の救いもなく重かった。(話が暗すぎて、気分転換にならんかったのよ。)しかし、ここから始まる暗く哲学的な展開にこそ、このアニメが伝説になった理由がある。このため、全エピソードの中でも重要な展開のある巻と言える。