亀山さんのこれまでのサントラ作品は、無難に作品により沿った感じがあって、案外印象には残りにくいというものだったりします。ただ、ボボボーボ・ボーボボのようにコミカルでポップな感じのものもうまく作れているし、ポポロクロイスのようにきちんとバランス良く旋律を響かせることもできているわけで、曲自体のテーマ性がある楽曲でも、興味深いものが出てくるんじゃないかと思っていたのでした。
そういった、これまでの個別のサントラでバラバラに発揮していた能力を、うまくまとめた形でできたのが、銀盤カレイドスコープだったんではないかと思います。作品中に使われる音楽が、クラシックよりの演技の場面で使われるものとなるので、そういった楽曲に違和感なく合うスタンダードといえるものが当然中心となります。そういったものでも、作品のサントラらしいと感じられる旋律を組み合わせております。また、主人公たちのある意味表情豊かな部分をポップな曲調で、だからといって突拍子のないズレを感じさせることなく、表現しています。ただ、キャッチィなテーマとなる旋律を作り出せていないので、すーっと流れてしまい、いい感じに作られたサントラ音楽に収まってしまったのが、もったいないという感じだったりします。また、前半に多く収録されている落ち着いたクラシック基調の楽曲より、後半のポップな曲調の方が作品中では多用されていたようですから、もう少しポップなものを前面に出した方が興味深いものになったのではないかと思います。