外見と違い、声質は、意外と太くハスキーでその力強い歌唱が見た目とのギャップを生み、感覚的に気に入りました。 スタンダード・ナンバーの「Love me tender」を実に情感たっぷりに堂々と歌い上げています。ピアノのサイラス・チェスナットのリリカルな音色に乗せて、雰囲気をたっぷり感じながら彼女の歌うこの名バラードを聴いていますと、年齢も国籍も美貌も関係なく音楽に浸れました。可能性を秘めた歌唱だったと思います。
松任谷由実の「A Happy New Year」では、新しい年を迎えながらもどこかアンニュイで寂しげな雰囲気が伝わってきます。ユーミンやベイ・シューの出自の「アジアン」を意識したアレンジでしたし、静寂の中に熱い感情が流れているのが伝わる歌唱で、個人的には一番気にいった曲でした。ただ惜しむらくは、後半部分を日本語で歌ったわけですが、発音もさほどよくありませんので、無理をせず英語で通せば良かったのではと感じた次第です。