リーフレットの解説の文字がまず小さすぎました。CDの現物の良さはリーフレットの解説付きだと思っているのですが、このCDの文字は小さくて大変読みづらいものでした。なんとか老眼は避けられている身ですが、それにしてもリーフレットの1面に68字×50行というのは、読み手を無視していると言ってもよいでしょう。
疑問はそれだけではありません。収録してあるモーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲より2楽章」、パッヘルベルの「カノン」、バッハの「G線上のアリア」がどのようにテーマである「桜」と関係しているのか知りたかったですね。この細かい字を読むとそのような印象を持つということでの選択のようでした。「桜100%」ですが、クラシック音楽を選んだ企画の意図が良く分かりません。
肝心の演奏は何れもしっかりとしたものでした。ほとんどが楽器によるインストゥルメンタルでしたが、上松美香のアルパやゲリー・カーのコントラバス、ジュリアス・ベーカーのフルート演奏など、演奏者が優れていましたので、聴きごたえはありました。
声をともなった歌唱は冒頭の米良美一の「さくら さくら(日本古謡)」と東京レディース・シンガーズの「花」の2曲だけだったのは物足りません。東京レディース・シンガーズの「花」の透明で豊かな響きは見事でした。
米良美一の「さくら さくら(日本古謡)」を最初にもってくるだけあって、このアルバムの中で一番印象に残りました。リーフレットには何も書いてありませんが(このような情報は載せて欲しいですね)、これは米良美一による多重録音のア・カペラなのではないでしょうか。米良の全盛期の時の収録ですよね。世界を魅了したカウンター・テナーの技の冴えを聴かせてもらったと思います。