♪近年の映画には総じて昏いので、あまり判ったようなことは言えないが、そんな僕でも名前だけは知っているロマン・ポランスキーやエリック・ロメールの作品に、主役級(?)でその名を連ねているということなので、フランス本国に於いてはアリエルは大女優なのだと思う。
♪スリーヴでの若々しい見た目からは想像もつかないが、本格デビューが'79年というから、本作を吹き込んだ時点ですでにアラフィフwwくらいにはなっているはず…だが愛らしくコケットに満ちた彼女のその蠱惑的(シャルマン)な唄いぶりからは、容姿と同じく実年齢からくる老いの翳りは殆ど感じられない。唯一それらしいのは、時折音程が不安定になる部分だが、それだって“衰え”じゃなくもともとそういう唄い方だったのかも知れず、どちらにしろ女優サンの唄としてなら十分許せる範囲内だ。
♪唯一レビュー印が付いていた前作の『アモール〜』が、レビュアー氏の言うようにモノクロームなイメージだとしたら、お馴染みのオールド・ラテンにスウィングなど“旧き佳き日”のアメリカン・ポップスのエッセンスを加えた当盤は、さしずめ1950年代は聖林の総天然色(テクニカラー)もかくやというカラフルかつ華やいだ印象だろうか??大貫妙子だったら『ロマンティーク』じゃなくって『アヴァンチュール』みたいな…
♪演目はスタンダード、ラテン、シャンソンとヴァラエティに富みつつも、いずれもノスタルジックでチャーミング!!基本フレンチ・アクセントの英語で唄われるが、適宜ネイティヴのフランス語が顔を出す。バックはストリングス入りの優美なオケあり、ゴージャスなビッグバンドありだ―個人的にはディノとリーヌ・ルノーのデュオ盤でも知られる「リラクセヴー」に撃沈!!