連作「六つの教訓物語」の最終話。
「家庭に仕事に申し分のない生活をしているものの、どこか物足りない生活をしている男、フレデリックは、
街の女たちを眺めて妄想に耽るのを楽しみとしていた。
そんな時、昔の知り合いの女、クロエと再会する。初めは軽くあしらっていたフレデリックだったが、
執拗なまでのクロエのアプローチに、次第に翻弄されるようになり……」
劇中、フレデリックが街の女たちを眺めて妄想に耽る時、連作「六つの教訓物語」の中に出ていた女優陣がゲスト出演する。
第三話「モード家の一夜」からはフランソワーズ・ファビアンとマリー=クリスティーヌ・バロー、
第四話「コレクションする女」からはアイデ・ポリトフ、
第五話「クレールの膝」からはオーロラ・コルニュ、ロランス・ド・モナガン、ベアトリス・ロマンが、それぞれ顔を出す。
この第六話「愛の昼下がり」が連作の一区切りである事を象徴するかのようだ。
一つ、ここで穿った観方をするのならば、女優陣はロメールにとって、いわゆる一つの「コレクション」のようなもので、
この出演のさせ方は、自分の映画に出てもらった綺麗でかわいい女優さんたちを、コレクションとして陳列しているようにも見える。
妄想で疑似恋愛をし、欲望を満たす主人公のフレデリック同様、ロメールは自分の映画に起用する事で
ある種の欲望を満たしているのではないだろうか。
ラスト、フレデリックが妻と話すシーン。
妻はフレデリックの言葉を聞いて涙を流す。この時の心情とはどのようなものなのか。
まるで純文学を読み解いているようで、単純だけれども奥の深さを感じさせ、非常に面白い。
それがロメールなのだ。