後続のテナー奏者やモダン・ジャスへの影響力を別にすれば,この全くスタイルを異にする二人をしてスイング時代の2大テナー奏者と呼んでいいだろう。
ホーキンスを評するに「力強さ」「豪快」「迫力」といった言葉が並ぶのに対し,ヤングの方は「軽快」「リズミック」「くつろぎ」といった具合で,僕は密かに前者をベートーベン,後者をモーツァルトに比しているが,これはちょっと言い過ぎかも知れない。
とにかく全てすばらしい出来だが,とりわけホーキンスの「ザ・マン・アイ・ラヴ」,ヤングの「アイ・ゴット・リズム」は彼等の生涯を通じて最高のパフォーマンスを記録したといえる。
共に1942年録音のコンボによる演奏。この2曲を聴かずしてテナー・サックスを語るまい。