Ein, Zwei, Ein, Zwei, Ein, Zwei...
瀕死のクリムトを見舞う弟子、エゴン・シーレ。
苦しそうに吐き出される吐息は、
かつて理想の女性を追い求めた姿。
クリムトの金色にひしめく19世紀末ウィーンは
退廃と新しい思想がぶつかる劇場だった。
崩れた家庭、体の関係を持たぬ愛人、そして
影から影へと消えていく運命の女性。
クリムトの筆は、あたかもその女性を追いかけるように、
山ほど現れる裸婦は、まるで運命の人を下書きするように。
ある都市では祭り上げられ、
ある都市では誹謗中傷の的になり、
現実は妄想よりもずっと不安定で流動的だ。
クリムトの人生を1から追いたいのであれば
この映画は見ないほうがいい。
けれど、クリムトの「眼」がなにを見ていたか
少しでも触れてみたいと思うのならば
夢の塊のようなこの映画は、
きっとあなたの心を満たしてくれるはずです。