安心してみれる日活青春歌謡映画。安心して…。もうこれだけで十分だ。
若者の恋愛は見ていてまどろっこしいし、デートシーンも何もかもが甘ったるすぎるし長いが、お決まりの結末には納得。
人形劇を使った悲しき恋の告白がこの映画の白眉のシーン。実にいいシーンだった。さすがにあの別れは雅子ちゃんは可愛そうだけどね。
これぞ男のあつい友情、幼馴染の情け。青春のほろ苦さでロマンだ。だってこんな綺麗な友情、実際にはないもん(笑)。
恋愛は勝つか負けるかなんだから。ほんとに心から好きなら、恋敵が友達だろうと腕尽くで手に入れようとするのが普通だ。この世の現実は厳しい。特に恋愛となればなおさら。
私は舟木ファンではないが、独特の純朴さ誠実さをもった好青年役はこの人でないとだめだ。
蓼科で牧草の研究している学生役で、地味ながら見ず知らずの人にも親切、親孝行者の青年。眩しいくらいに良心に溢れたいい青年。いい男というよりいい青年なのだ。
だが顔は痩せてて青白く不健康そうだし、若者らしく腕っぷしで目立つわけでもない。頼りなさそうな感じだがそれが彼の持ち味なのかもしれない。
セリフ回しとか棒読み感はかなりあるし、あくまでアイドルとして売っているだけあって到底演技派というわけではないが、歌手なんだから致し方あるまい。もちろん歌は最高にうまい。
こういうわかりやすくて安心して観れる映画は日本映画黄金期の一本ならでは。実は昭和40年の日活映画ナンバー1ヒットらしい。若ーいマチャアキも出ていてびっくり。
和泉雅子さんもこの当時は吉永小百合さんと似た顔立ちで美しいが、第二のヒロイン西尾三枝子さんの存在感も忘れてはなるまい。この人も上手い。