隣国であるサルセニアの国王の元へ御輿入れすることとなったグウェンダリン王女。
しかし、随行するサルセニア兵の忠誠心は疑わしく、娘の身を案じた女王は王宮騎士団の騎士長レイノルズに一行の護衛を要請した。
王の身辺警護が気がかりなレイノルズであったが、女王自らの絶っての願いということもあり、信頼できる部下数名を引き連れてグウェンダリン王女に同行することを受け入れた。
女王の恐れていた通り、道中で山賊の襲撃を受けた途端にサルセニア兵は遁走し、王女を守るのはレイノルズ達だけとなってしまう。
追っ手から逃れる道すがら、開けた場所に廃墟を見つけたレイノルズは、そこを立て篭もって山賊との対決を試みるのだが・・・
ストーリーと言えるほどのものは無く、廃墟に立て篭もった王女一行と、これを襲う山賊団との攻防が主体、というか、それのみが描かれている。
冒頭に登場する王城はウソ臭い造りだし、有名な俳優も殆どキャスティングされていない。
しかし、この作品は面白い。
王女一行を構成するメンバーは、王女自身を含めても僅かに10名程度なのだが、それら一人一人の登場人物の造形がエンターテイメント性に優れており、かつ彼・彼女らが活躍するシーンが丁寧に盛り込まれている。
皆が存分に個性を出しているため、「脇役」との認識は薄くなり、どの人物が画面に映っていても常に楽しめるのだ。
このような形態で最も成功した例は黒澤明の「七人の侍」だと思うが、その模倣というわけでもなく、どちらかと言えば、米国のTVドラマ「コンバット」を中世の欧州に持ち込んだような雰囲気だ。
複雑なストーリーの作品も見応えがあるが、シーンを絞り込んでキャラクターを描いた作品というのも映画としては面白いものであることを改めて認識させられた。
剣戟もあるが、銃器の存在する時代の架空の欧州が舞台となっているため、甲冑が出てこないのは残念な点だ。