当然ですが初期のころのような刺々しさは求められません。しかし全体的にはGravityほど丸くはない、ちょうどFrom Within とGravityの中間くらいでしょうか。ただ曲によってはGravityにもなかったようなマイルドな曲もあります。しかし、それでいて暗鬱だから気持ちいいんですね。とくにA sky about to Rain。今の彼らの真骨頂と言えます。
2006年アネクドテンの作品。デビュー当時のVemodはキング・クリムゾンフォロワーだったが、前作あたりから、かなり消化され、彼ら独自の音になってきている。依然として、メロトロンにやや乾いたぼそぼそした栓の抜けたようなボーカル、叙情的な音のパターンは貫かれているが、どことなく、突き抜けるところがない。4曲目の”翳りの天”というのがあるが、全体的にぼーとした雰囲気を醸し出す。そこが彼らの良さかもしれない。7曲目"In For A Ride"はキャラバンの中期の音(カンニング・スタッフだったか?)に似ている。こういう路線は今後もぜひとも貫いていただきたい。彼らを知るにはやはり"Vemod"から順番に聴くのがお勧めだ。