2006年、バンバンバザールが毎月一組のアーティストと共に曲を作り、ライヴで発表し、スタジオで録音。それを一年分(=12曲)まとめたCDである。
企画としては大変面白いのだが、音源としては正直なところ期待した程ではなかった。
そもそもバンバンバザールのフレンドリーなキャラクターはこういった共演にはうってつけなのだが、そのせいで却って批評性を欠いた無邪気なコラボレーションになってしまった観がある。というかその無邪気さが必ずしもプラスには働かなかったようである。
ブルースとかラグタイムとかいったオールド・ファッションなスタイルを基調にする(それ自体は何も悪いことではないのだが)共演相手が多いこともあってか、全体的に“そのスタイルによる共演”というネタが強調されたトラックが多い。ライヴは楽しかったかもしれないが、“作詞作曲”という点に注目した場合、残念ながら決め手になる名曲が見当たらない。
意地悪な言い方をするなら、“喧嘩しないで作っちゃったでしょ?”という印象である。
ベスト・トラックはイノトモと組んだ「夏のキムチ」か。他の共演者を列記しておく。吾妻光良、今野英明、アナム&マキ、Janet Klein、ロッキン・エノッキー、ハッチ・ハッチェル、キヨシ小林、藤井康一、泥水、尾藤イサオ、有山じゅんじ。