「PCの成人向ゲームは改名しないと移植を認めない」ソニールールを逆手に取り、さらなるインパクトのタイトルで再臨した通称「俺下」改め「AGAKE」。
ターゲットキャラ達を、鬼畜若社長+眼鏡クール秘書コンビがシュールかつお馬鹿な罠で借金ダルマにして(禁則事項です)するシステム、何よりBL界初と言える鬼畜ゲームだっただけに原作発表の時点で意味は違えど男女問わずヲタに注目された一作です。懐かしい。
これが移植された今、もはや何でもありにかなり近づいたと、相変わらずD3パブリッシャーのフリーダムぶりに言葉もありません。
さて本題にはいりますが、このCDの音楽的な見所は、なんといっても緑川光氏演じる鬼畜社長・黒崎壱哉が歌うテーマソング。
OP曲はピカレスクロマン的なノリにソニーチェックにかかりかねない限界ギリギリの歌詞と、インパクトは十分。全体的にキーが高いので、間奏に入るドスの効いた台詞「教えてやろう。絶望と言う名の運命を」と比べてどうしても鬼畜臭が少し薄れますが、曲が秀逸で延々リピートして聞きたくなる不思議な魅力があります。
対してED曲は打って変わって、純愛系のドラマや映画、ゲームのエンディングテーマのような、希望ある未来に踏み出すような歌詞と曲調。あり得ないくらいのギャップです。普通にハッピーエンドに見えます。借金から始まる愛ですか?
移植にあたってかなりのテコ入れが為されたのは間違いなく、その結果とは推測されますが……
この主題歌はフルバージョン・ゲームでのショートバージョン双方入ってますが、残念ながらカラオケはありません。
BGMは全12曲(内1曲は本編とは別のおまけ部屋のテーマ)。目立った作風の方向性=自己主張が見られにくい、分をわきまえたBGMという印象で聞きやすい曲が多かったです。鬼畜なのに明るめの曲が多かったのも印象的。
個人的には「薔薇の名前」が静かですが、今までにないタイプの感動系ピアノ曲で不覚にも心にきました。
以上、曲数は明らかに少ないですが質には問題を感じませんでした。収録時間が45分と余裕があったので、主題歌カラオケを入れてもよかったかもしれません。