一部ネタバレご容赦。
植木等さんの無責任シリーズが好きで、クレージー映画のDVDを見てきました。「クレージー黄金作戦」の特典音声でこの作品の存在を知り見ました。
集合住宅に家族と住む平凡なサラリーマン鈴木太郎がある日、出社したら自分の席には別の鈴木太郎がいた。妻も子も母も、誰も自分を覚えていない。それから、精神病患者、殺し屋、会社経営者と次々と人格・名前が入れ替わっていきます。そしてラストは……これは見てのお楽しみ。
植木さんの無責任男はキャラのバイタリティーが制約や既得権益をぶっこわして、でっかいことをやり遂げ出世していきますが、谷啓さんはほんわかしたキャラで、時空や次元を超えて、社会の約束事を飛び越えます。
人の人生、結局は環境によって小市民になったり、犯罪者になったり、あるいは成金になったり、成り行き次第で人の運命も人格も翻弄されるものだと、笑いながら感じさせてくれる佳作です。
いろんな不思議な映画を結構な数見てきましたがこれほど奇々怪々な映画は知りません。それがクレージーシリーズの娯楽作として上映されたのが奇跡。坪島監督にはもっともっと不思議系の映画を撮ってほしかった。ファンタジー作家としての才能があったかも……。惜しい。
いつもは浜美枝さん野川由美子さんの目鼻クッキリ、滑舌ハッキリのヒロインですが、吉田日出子さんのほんわかしたゆるキャラが作品にマッチしていました。