フィンランドのジャズ・バンドIllmiliekki Quartetのピアニストとして活躍しているTuomoがソロ・デビュー作として発表した本作は,ブルーアイド・ソウルの傑作として名高い。個人的には,メロウでグルーヴィーな「Ballroom Girl」がイチ押し。しなやかでスタイリッシュなナンバーで,ホーンセクションやファルセット・ヴォイスを効果的に使ったサウンドがいい。
タイトル曲「My Thing」は,ホーンセクションを起用したグルーヴィーなアップテンポと,夢見心地なスローが交錯し,「True Friend」は,ゆったりとスウィングするストリングスがソフトで心地良い。フィリー・ソウル全盛時の70年代ソウルを想起させるのが,アップテンポの「Don’t Take It Too Hard」。女性スキャットもクールな「Sorry When I’m Gone」は,グルーヴィーで小粋なミッドテンポ。「Ballroom Girl」同様,個人的にはお薦めしたいナンバー。
朝焼けにも似た爽快なメロディーの「So Surreal」,ファンキーではじけた感覚が小粋な「I Won’t Worry」,休日の昼下がりにも似たリラックスした雰囲気の「Ourselves」と,終盤まで佳曲が目白押し。
スティービー・ワンダーやカーティス・メイフィールド,フィリー・ソウルといったあたりの70年代ソウルへの傾倒を強く感じさせる。フィンランド,それもジャズ・シーンからここまで傑出したブルーアイド・ソウルが生まれるとは驚きだが,ソウル/R&B好きなら必聴の1枚。