モーリタニアのグリーオの伝統音楽そのものを収録した貴重な一枚。女性グリーオの歌声をメインに、まったく伝統楽器の伴奏のみで、グリーオ本来の仕事であるプレイズ・ソング(スポンサーを褒め称える歌)を楽しませてくれます。 伴奏の中心になっているのは、アルディンという、11〜15本の弦を張ったハープのような楽器。これは伝統的に女性によって演奏されます(反対に男性だけが演奏する楽器がティディニットで、こちらはやはりハープのような4〜5弦の楽器)。この楽器にはサワリというか、独特のノイズ成分が含まれていて、それがパーカッションのような役割を果たすなど、独特の響きを聞かせます。さらにここでは曲によってエレキ・ギターもフィーチャーされ、さらに女性コーラスも加って、ディープなサウンドを響かせます。 なんといっても強力なのが、そんな伴奏をバックに歌う女性歌手オオレイアさんの歌声。ブラジルの女性歌手エルザ・ソアーレスを思わせるウルトラ・ハスキー・ヴォイスで、グリングリンにコブシを回し、まさに力いっぱいの歌声を聞かせてくれるから、たまりません。1曲歌ったら、ノドがカラカラになってしまうのではないかと心配になるほどの熱唱。このアルバムの最大の魅力は、そんなオオレイアのナマナマしい歌声にあります。