TOKYO ROSE、なんとまさかの3rdアルバムです。何がまさかかって言うと、エモ・バンドって短命なバンドが多いので。長くやってるところは途中で路線変更してたりするんですが、ここはエモど真ん中のまま、3枚もリリースするってのがやっぱりスゴイと思うのです。
今回もまたジャケットの意匠をガラリと変えてきたこの作品、音を聴くまでは少々の不安もあったんですが。何の心配もいりませんでした。
セカンドで見せた大人びた顔とは一変、1stに立ち戻ったかのような疾走感溢れるサウンド。しかし曲調は憂いを帯びたままで、アレンジはほぼ三人の担当する楽器のみ。
つまり、”エモ・ロック”感が更に加速しているのです。
随所にエモの常套手段を散りばめつつも、クリアで伸びやかなヴォーカル、硬質なリズム隊、メタリック感を排しコードワーク主体で攻めるギター。1st、2ndとも違った趣向のサウンドを響かせつつも、しっかり「TOKYO ROSE節」を聴かせる辺りはさすがだと思います。
もうちょっと続くんだろう、と思ってる矢先でバツン!と唐突に終わるコンパクトにまとめられた曲。さながらライヴの終盤の畳み掛けみたく、曲が連なっていく様が全編に亘って繰り広げられている。サラサラっと流し込んでもう一杯、的なリピート率高く仕上げられたこの作品、聴き終えた後(曲ごとに於いても)、ちょっと物足りないと思わせるところが名盤の証ですね。
しかし、エモの範疇に留まりながら、メロディック・パンク寄り⇒大人エモ⇒直球エモ・ロックとサウンドを変化させ、なお且つ同じバンドとしてのアイデンティティーを保っているなんて、ちょっと真似できる事ではないでしょう。
しかも、一旦大人びた哀愁路線へ行きながら、またスピーディーな若々しいサウンドに立ち戻るなんて、ホントに一体、どれほどの引き出しを持っているのやら。
感服です。