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1980年代初頭、世界中のコアなポピュラー・ミュージック・ファンの注目を集めたベルギーのニュー・ウェイヴ系レーベル、レ・ディスク・デュ・クレプスキュール。
関心を持たれる契機となったのが1980年、何とカセットのみで出たオムニバス『From Brussels With Love』。
当時の先鋭ばかり集めた意欲的な一枚だが、今思うに、音楽を乗せるSP盤やシングル盤、LP、カセット、CD、LD、VHS、MD、DVD、ネット配信等、容れ物自体が創られる音楽そのものに与える影響を再考するべきなのかも。
藝大の音楽環境創造科の皆さん、マクルーハンやサナギ、空洞論でも参考にしながら、気合いの入った論文を読ませてくれよ。
本作のオリジナルは『From～』の続篇っぽい形で、1981年に２枚組LPでリリース。
より西欧臭さを強めつつアート・リンゼイ率いるアメリカのノイズ・バンドDNAが３曲も入るなどグッと幅が拡がり、ヌーヴォー・ロマンの女流旗手デュラス、カット・アップの手法で知られる前衛作家バロウズの肉声も収録されているという他表現ジャンルへの越境性をも視野に入れた極めて斬新なオムニバス。
この翌年、フランスの異色レーベルSordide Sentimentalから出た７インチ『Enigma／Danny』が高価で取引されることになる当時一部で熱烈に支持されたthe Durutti Columnを始めとして、フレンチ・ポップスやジャズ、クラシック、現代音楽、ミニマル・ミュージックのポピュラー的解釈、映画音楽のカヴァーなどがぎっしり。
初めて聴く方々はヴァラエティに富むというより散漫な印象を持つかもしれないが、いろいろな方法論が芽生えた1970年代末から混沌としてゆく1980年代への分岐点となった歴史的な企画。
CD化に当たって追加されたボーナス・トラック計８曲も、あまり違和感がなく溶け込んでいる。
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