ブラームスの協奏曲のこのライブ録音(1967.6.11)の音源は、海賊版で2枚も持っていて(METEOR盤とEn Larmes盤)何度も聴いた。シェリングのライブ録音はどれも完成度が高いが、この録音は鬼気迫る力を持っていて、普通の言葉では形容できないすごさがあった。
1967年というと、シェリングの代表作となったバッハの無伴奏ソナタとパルティータが録音された年だ。世界中のレコード大賞・ゴールドディスク賞を総なめにした演奏を録音した年。シェリングの音色が最も輝いていた年。
1970年代になると、シェリングの録音は、以前よりも精密になり、慎重な演奏をするようになっていく。この録音は、そうなるすこし前の時期のもので、演奏スタイルは後年の大家風のものとは異なる。ものすごいパワーを感じさせる演奏だ。