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タイトルに示されている通り、この「Memoria Vetusta II/Dialogue with the Stars 」は１９９６年に彼らが発表した「MEMORIA VETUSTA I」と名づけられた物語作品と２部作を成し、実質的に最終章として位置づけられる。この間、およそ１３年の隔たりが存在する。
１９９６年の「MEMORIA VETUSTA I」についてだが、もはや、彼らはこの時点で疑いも無く世界水準に到達している。少なくとも私自身はそう感じる。独特な、幽玄でかつ荘厳なリフと胸を締め付けるようなメロディーが並外れた高次元で融合されており、中には「名作」と心の中で位置づけている人がいても、十二分に納得できるほどの傑作である。
しかしながら、その後彼らは、作品を重ねるごとに音楽的方向転換を図り、不協和音をはじめとした数々の実験的な作品を創造してゆくことになる。中でも、２００４年に発表された「The Work Which Transforms God」は究極の不協和音と緩急を見事に体現したことで名高く、これもまた傑作である。
「MEMORIA VETUSTA I」の中で綴られている物語の内容については情報に乏しく詳しくは述べられないところではあるが、楽曲のタイトルから推測すると、おそらく地球上で繰り広げられる出来事を基軸に据えた内容であることは確かであると思う。一方、本作品では、作品名からも察せられるとおり、「宇宙」を視野に入れたより広大な世界観が展開される。こうした点から考えてみると、１９９６年段階で、第一部を完成させた彼らは、自作で、一連の物語の完結を見ることも可能だったはずだが、第二のテーマを取り扱うにあたり、当時の彼らの組み上げた音楽に対して、そのコンセプトを表現しきることが出来るかという点で、何らかの「限界」のようなものを感じていたのではないだろうか。そして、あくまで私自身の憶測だが、その「限界」を突破し、この壮大な世界観を表現するに値する「音」を密かに求め実験を重ね続けていた、という側面が彼らの過去の作品の中には、部分的にしろ存在していたのではないだろうか。
しかし、「そう考えざるを得ない」、本作品もまた彼らの魅力にあふれた素晴らしい出来である。
「Black Metal」いや、「Metal」という概念を軽々超越してゆく異形の空間支配力を誇る彼らは、本作品においてもその卓越した才能を遺憾なく発揮している。中でも、楽曲中に随所に見られる、ゆらめくようなギターの単音フレーズと浮遊感に満ちたトレロモフレーズが一つの空間に融合する幻想性は実に見事である。複雑な楽曲構成を含め、その音楽的世界観の更なる広がりを感じ取ることが出来る。また、この作品のコンセプトを表現しきるためだけに組み上げられたとしか言いようの無い独特の和音が組み上げられ、それらがアルバム全編を通して貫かれており、以前の作品での数々の和音研究の成果が存分に体現されている。
「メロディアスで」「荘厳かつ広大な」「疾走間に溢れた」、まるで非の打ち所が無い作品である。
既存の価値体系にとらわれず、臆することなく研究を重ね続ける確固たる彼らの「芸術家」としての精神に再び深い感銘を受けた。
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Francis Desrochers
Five Stars
2018年6月10日にカナダでレビュー済みAmazonで購入
TN
Stellar!
2015年3月19日にスペインでレビュー済みAmazonで購入
Metal head
Five Stars
2014年10月19日に英国でレビュー済みAmazonで購入
IcemanJ
Best thing I got my hands on in 2010
2011年4月26日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
M. Jerome
Atmosphérique
2009年7月4日にフランスでレビュー済みAmazonで購入
