この商品は、東芝EMI TOCE-6057です。
世界初CD発売になったものです。
1937年録音と言いますから、昭和でいうと12年ということになります。
日本では、「支那事変」が発生した年でもある。
西暦で書かれても古さにピンとこないとこがありますが、昭和で書くとその古さがわかります。
ロンドン、クイーンズホールでの英王ジョージ6世戴冠記念コンサートということです。
年齢的にもフルトヴェングラーもベルリン・フィルも脂がのった時期の演奏で、
有名な終楽章最後のプレスティッシモの猛烈に速いアンサンブルも、
私が知る限りには一番安定していると思います(破綻している録音も多いです)。
3楽章はゆったりと、とても美しいをしています。
合唱のフィルハーモニー合唱団も、気合いが入っている感じがします。
演奏に関しては、いくつもあるフルトヴェングラー第九でも、1942年が私の中では一番ですが、
その次にこの演奏を選びます。
バイロイトは有名ですが、演奏の出来については、私の中では好みの部類ではありません。
晩年演奏なら、1951バイロイトよりもルツェルンを選びます。
1951バイロイトは熱い演奏だと思いますが、録音の質に恵まれていません。
評判のいいものでも、コーラスがどれもオケよりも遙かかなたに分離してしか聴こえないのが一番の不満です。
でも、そうではない録音もあり、この1937年もそのひとつです。
このようなものは、他人や雑誌、評論家の評判や評価と自分の好みが同じとは限らないものです。
聴くのは自分の耳ですから、自分の耳を信頼するようにしないと「裸の王様」になってしまいます。
このCDの発売を皮切りに、海外製品もいくつも発売されましたが、
特定の音を強調したり、また、変にノイズをいじったりしたようにも聴こえないこのCDが、
1937年の中では「一般人が買えるものとしては」一番聴きやすいと思います。
日フルトヴェングラー協会のものは、もっといいとのネット上での噂を聴きますが、
会員でもありませんし、そのようなものが協会CDを入手するのは、
稀にみかける、プレミア付き価格CDに手を出すかしかありません。
こうゆうヒストリカルは再生装置の機能に依存することが多く、
私は上等で高価な再生装置では聴きませんので、
ネット等の評判にそった評価が、それほど繊細に違いが正直わからないことも多いです。
プレミア価格でも、手が出る価格ならば、手をだすかもしれませんが、
だいたいの自分の身の丈から考えれば、
このCDの録音は、悪いものではないと思っています。
同曲同演異盤としては、20世紀のコンダクターシリーズ(IMG Artists)を持っていますが、
これよりは録音もいいですし、これは反復のカットがあり、しかも、2楽章と3楽章でCDを変えないといけません。
でも、これの私にとってのメインは「英雄」ですので、それでも構わないと思っています。
ということで、演奏、録音ともに満足していますので、
☆5つつけさせてもらうことにします。