サンプリングワンフレーズの反復によるトラック、ラップ、スクラッチ音といったものがHipHopである、というパブリックイメージが先行している現在だが、それだけをHipHopであるとすることが間違いであるというのをいとも簡単に証明してしまうのがこちらのCD。
本来HipHopはこうしたCut UpやEdit、Mastermixと言った手法によっても体現されて来たものであって、パブリックイメージのなかのHipHopに登場するワルそうな人たちと、スクラッチの音、攻撃的で汚い言葉のラップだけを思い浮かべているのならばそれは大きな間違いというものである。
このCD(というかUlticut Up!の作品すべて)は音源がすべてSalsoulでありながらこれ以上無いほどのHipHopフレイバーに満ちている。そんなパブリックイメージから抜け出せない人にぜひ聞いてもらいたい一枚。
ただし、これを聞いて本当に「HipHopだ!」と思える人は、それはそれで上級者でもあるのだ、と個人的には思う次第。間違ってもダンスクラシック好き、80年代ディスコ好きだからSalsoulを知っている、という人は手を出してはいけない作品。
間違いなく自分の今までの「音楽ジャンル分け」に衝撃を受けるはず。