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かつて気分が沈みかけるとスピッツの1stをきいていた。最近、疲れてる私はメトロオンゲンのこのCDがヘビーローテーションだ。
はじめ、輪郭が淡く、つかみどころのないアルバムだと思った。しかし、疲れてる私にはこれが心地よく、これが欲せられてやまないのだ。
08年東名阪ツアーのタイトルは「幻の国」というらしい。それでなんだかフにおちた。
一聴して、強いメッセージも、明確な問題提起も感じられなく、ファルセットでうたわれるのは、ひたすら浮遊し続ける、あるいは上昇していくようにすら感じられる幻の国の愛のうたたち。
それにしても〈顔を覆うその腕に 紅く流れる大河の滴〉とはすごい。そして〈肌の色も貧しさも超えて 響く生命のアンセム〉に八ッとさせられた。(Anthem)
更に「ヨニー・ラセット」の壮大さ。〈ステルス機の羽根の影が/母の名を遠く呼んだ〉〈この惑星と逸れたなら/僕の手を握ればいい〉あげく〈僕らは宇宙〉
これらは矮小な世界を超えた生命の讃歌で、超大な愛のうただったのだ。
だから鯨の腹の中=母の胎内にかえるような安らぎが疲れた私を包んでくれるのだ。
そういえばスピッツの1stもどこでもない幻の国だった。
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