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不動産会社につとめる薫は、お休みの日、釣り堀の手伝いで小4の女の子の釣り竿にエサをつけていたとき、小4の夏の出来事を思い出す。その夏は、母親が父親に愛想をつかして家を出て行き、数日後、見知らぬ女性が家にやってきた。彼女の名前はヨーコ。豪快で世話好きでサッパリした彼女は、父親に頼まれ、食事を作りに毎日やってくる。薫は彼女の勢いに圧倒されながらも、自転車の乗りかたを教えてくれたり、いつも一緒にいてくれる彼女に心を開いていく。でもそんな楽しい日々も長くは続かなかった…。
竹内結子主演、根岸吉太郎監督作は、少女のひと夏の出来事を描いたヒューマンドラマ。両親の離婚という辛い背景がありながらも、豪快で心温かいヨーコの魅力が、少女の不幸を吹き飛ばし、キラキラきらめく夏の思い出を作り出す。産休復帰第1作となる竹内だが、以前と変わらぬ清らかさで、少女の思い出の女性を躍動感ある芝居で魅了。豪快な女を演じても、持って生まれた品のよさが、薫の父親との男女関係などもサラリを見せてしまう。自転車、インベーダーゲーム、麦チョコなどのアイテムも効果的に使われ、インテリアやファッションもノスタルジーにひたれる昭和テイスト。でも古く感じず、かえって新鮮に映るのは、根岸監督の演出力と竹内のクリーンな魅了だろう。原作は芥川賞受賞の同名小説。(斎藤香)
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
芥川賞作家・長嶋有の同名小説を竹内結子主演で映画化。80年代初頭を背景に、小学4年生の少女・薫と、自転車に乗って突然やって来た父親の愛人・ヨーコが過ごす刺激的なひと夏をノスタルジックに綴る。古田新太ほか個性派俳優の共演も見どころ。