Ray先生の新作は「Nashvill録音!」と聞いて「うわっ!カントリーアルバムか?」といきり立ったのですが、前作の流れを汲む大傑作でした!全編でフューチャーされるRay先生のAGが鍵を握っており、ナッシュビル録音で有りながら非常に英国の匂いを感じさせます。
ソロになってからのRay先生はKinks時代(まだ解散していませんよ〜 と思いたい)から比べて"フルモデルチェンジ"と言った感じで、曲の細部まで非常に凝った装飾を施す様に成りました。本アルバムでも、構成に凝ったり、コードに凝ったり、歌メロに変拍を用いる等 知的な部分を感じさせるアレンジを本人がやっております。今回は詩が今まで以上に重要で、Ray先生の心情を吐露したと思わしき曲が有ります。輸入盤にも歌詞は載っていますが、対訳付きの日本盤でゆっくりと味わいましょう。
#4/Village Green期を彷彿させる曲調で2004年に暴漢に足を撃たれ入院した際に描いたのでは?と想像させられる。#5/個人的にRay先生の作品中5指に入る作品と思います!Ray節炸裂でマイナーとメジャーコードの対比のさせ方が非常に旨い。落ち着いた視点で描かれる詩の世界も素晴らしくRay先生がニャッと笑って「本当のAORってのはこうやって作るんだぜ」と言う姿が眼に浮かびます。#6/平歌とサビ部で音像処理を変え効果的な演出をしている。#7/先の狙撃事件での公判(先生は出席出来ず)での件を彷彿させる歌詞が興味深い。(今回Voの音処理を曲によってかなり変えており、今までに聴いた事の無いRay先生の声を聴く事が出来る。)ただ 被告側の視点に立ちコンピューター社会を皮肉る所がRay先生らしい。
平歌のTalking部にアルペジオ風のリフを乗せるやり方はDo It Againを思い出させるし、Gカッティングとオブリガードのフレーズが弟君 DaveのRatsを彷彿させる点も興味深い。分岐点はやはり「フォビア」だったんだ、しかしあの時の様に怒りの対象が「個」に向かうのでは無く「得体の知れない不気味な物=国家」に今回は向いている。力強い。永遠の反逆児だぜ。
#8 冒頭のAGのオブリガードが非常に効果的な傑作!Don't Forget To Dance/Still Searchin'を彷彿させる感動的なバラード。この1曲を聴く為だけにでも買うべし名曲。#9 英国の為にもう一度歌おうと歌われる佳曲。決意表明と受け止めて良いのでしょうか?#10 ハハハ!ニユーオリンズ在住がそうさせるんでしょう!CCR/Born On The Bayouを連想させるがサビ部はRay先生らしい曲。
死を連想させる曲が有ったり、ダウナーな視点が散見される点が気掛かりだが、それも#12のラスト「僕は生きている。それが現実だ」への伏線と思いたい。
尚#2にKinksオリジナルドラマーのMick AvoryがPerにて参加。またKinksとして昔の仲間と喧嘩しながらやって欲しい物だが、此処までの傑作を物にしたのだから当分再結成はおあずけの様だ。