74年発表の5作目。リッキー・ガーディナー(g、per)、ヴァージニア・スコット(k)、ピート・スコット(vo)、マイク・トラヴィス(dr) という4人編成となって発表された作品。
1.はいきなりヘヴィ・サイケ風でビックリ。パーカッション、ドラムス、ギターが一体化したマンダラのような演奏はおそらくはテープの回転を早くしたリズム・トラックに演奏を加えたものと思われるが、前作からの流れからするとかなり異様。ただしテンションの高い演奏はなかなかの聞き物ではある。2.は一変してシンプルなR&B/ブルース路線の曲で、英国ブルース・ロックのブームの時代を彷佛とさせる本格的な仕上がり。ヴォーカルも味があるが、ワウも加えたギターも何げに上手い。3.もサイケ風味をちょっぴり加えたブルース・ロックで、泣きのメロディを持ったなかなかの佳曲。ワウ・ギター、ピアノ、オルガンなどを加えて渋さの中にもポップさを感じさせる仕上がりを見せている。4.もシンプルなギター・リフを中心にしたブルース・ロックで、ヴォーカルの雰囲気もあって一時期のクラプトンを思わせる部分もあり。ツイン・リードも含む豊かなギター・サウンドが心地よい。5.もほぼクラプトンのスタイルを踏襲したR&B路線の佳曲。6.はアコギ中心の田園ポップ風の演奏にムーグが雄叫びを上げるインスト曲。7.もクラプトン路線のレゲエ・ナンバー。
前作は田園ポップ/英国スワンプの佳作だったが、本作では同時期のエリック・クラプトンを思わせるブルース/R&B路線。初期から聴くとその振り幅の大きさには驚かされるものの、先の路線としては概ね成功しておりかなり本格的な仕上がり。プログレ・ポップのイメージで聴けば完全にハズレだが、オーソドックスなロック作としては変化球も多く、そういう意味では彼らの作風らしいと言える。