皆さんのレビューも発売以降、ほぼ出尽くしたかなとは思いますが、いまだにこの盤だけはじっくり聴いた感じがありません。なんせ聴く前から既に感動してしまい、この素晴らしいジャケットは正視すると感激のあまり(いまだに)涙があふれそうになってしまうのですから。
本作が発表されるまで唯一の正規盤であったスモール・・・(海鳥の写真がジャケットの何かの間違いの作品もあった気がしますが)は、既に繰り返し聞くあまり耳にレールが出来てしまった人多数でしょう。アレンジが、ハーモニーが、メロディーが、全てが最高であり、また全てが何か物足りないという不思議な作品であったと思いますが、おそらくその「完全な不完全さ」故に一度は忘れられたものの、私も含めてみなどこかそこに惹かれ、そしてあらためて永く愛される名盤になりえたのだと思います。
ところで皆さんのレビューに戻ると、それぞれこの盤に求めているものが微妙に異なることがわかり、そのそれぞれに私は納得してしまいます。もっと金をかけていいミュージシャンを投入していたら、確かにもっと良い作品になるかも知れないし、そうじゃないかも知れないし。ですがこのアルバムをなんとか心の平静を保ちつつalways you まで聴き進むと、既存のバージョン(sundownersとか)には無かった要素、メリンダの声のよるオープンハーモニーが聞こえてきます。これこそこのアルバムの最大の意義、このボーカルチームが起こした奇跡が蘇った瞬間だと思います。
彼等は確かにここに帰ってきて、そして遅ればせながら賞賛の嵐を暗い念仏のように唱え続けた我々の前でそれを再現してくれた。
音楽の質もさることながら、それが本当に40年前の幻でなく現実のものであったことが確認出来た、ということだけで既に私の胸はいっぱいになってしまうのです。