APOGEE1年2ヶ月ぶりのニュー・アルバム。
個人的にこのバンドは楽曲製作に時間を掛けるタイプ、とにらんでいたので
1年ちょいでリリースとは意外だった。しかもクオリティ高いし。
前作「Fantastic」は壮大なサウンドスケープと奇抜な構成・アレンジが光る
06年のロックアルバムに於ける傑作の一つ、だと思っているのだが
それと同時に「1stでここまで完成された世界観だと、この先難しそうだな」と
思ったのも事実。最も次の展開が予想不可能なバンドだった(個人的に)。
で、そこから2枚のシングルが届き、このアルバムにも入っている「Just a seeker's Song」と
「アヒル」。この2曲がアルバムの方向性を決定付けてると思う。
まず前者に関しては「Fantastic」に於ける「GIRAFFE」のような、幻想的で美しい
メロディとサウンドを更に推し進めたような曲(抽象的な表現だがまるでメリーゴーランド
に乗ってるかのような感覚に陥った)。後者に関しては驚くほどバキバキのロックチューン。
ブラックミュージックとロックンロールを見事にぶつけて融合させた名曲だった。
このアルバムの楽曲は大体そのどちらかにタイプを分けることができると思う。
個人的な印象だと前作よりも音響度とロック度が高まっている。
「ESCAPE」はアポジー至上1,2を争うほどダークな楽曲だし(詞も曲も)、
「Spacy Blues」は驚くほどシャキシャキとしたロックチューン。
またこのアルバムの中でも変り種の「Rain Rain Rain」。この曲に関してはかなり
遊んでいるなあ〜、というか新境地開拓したなと思うポップ・ソング。
「Transparent」は美メロを前面に押し出した曲で、ちょっと感動する。
と、全体的には以前よりも激しく、深いサウンドになっているのが特徴。
「わかりやすさ」「キャッチー」という点でははっきりいいって前作の方が上。
だがその到達地点に甘えず、新たな音像に向かった今作も前作に負けず劣らず
素晴らしい作品だと個人的には思う。やはりバンドは刺激的でなくては。