この曲の演奏でこれくらいガッカリした演奏も余りない。少なくともアルゲリッチはかなり好きな演奏家であったから期待も大きかったからだろう。
何が不満だったかといえば、曲そのものに対する姿勢(解釈?)と録音に関してのエンジニアのセンスの無さである。
三者は知らぬ者ないテクニシャンであり、その点では文句の付けようもないし、トリオとしての息の合いようも見事で、見世物(いや聞かせもの)としのは実力発揮には脱帽しましたと申し上げたい。
しかし、感情移入の極ともいえるアプローチでルバート、アゴーギク、やりたい放題で名妓を披露したのではまるで安っぽい“演歌”になってしまってはいないだろうか!と。
もともと作曲の動機からして悲痛な悲劇的感情をもとにして創られている曲と、私は踏んでいるから、素直(ザッハリヒ)に奏されても曲の内面は十分に伝わって来る。特別な泣き落としは必要としないのではないか?ストレートに奏したのでは、あるいはこのお三方にとっては何の楽しさも無かったのかもしれないが。
尤も演歌がつまらないと決め付けることも無いが、聞き手も好き勝手が可能だ。
次に録音。現場を知らないので確定的にはいえないけれど想像で、これはかなりな近接マイクで収録し、エンジニアのミキシングによって仕上げられたのではと思う。
故にホールの雰囲気とか奥行きが全く感じられないし、第一楽器の音が生き生きと聞こえない。繊細な音も捉えられてはいるようだが、何か不自然で荒々しさも圧縮されていて迫力は感じられない。壁に張り付いた音のようだ。
グラモフォンの録音の傾向が昔とは違ってきていると思う。モニタースピーカにいったいどんなものを使っているのか、残念でならない。
憎まれ口をきくのは憚られるが、率直な感想、ファン諸氏にはゴメンナサイ。
ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番、チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲
アルゲリッチ(マルタ),クレーメル(ギドン),マイスキー(ミッシャ)
(アーティスト),
チャイコフスキー
(作曲),
ショスタコーヴィチ
(作曲),
キーゼヴェッター
(作曲),
アルゲリッチ(マルタ)
(演奏),
クレーメル(ギドン)
(演奏),
マイスキー(ミッシャ)
(演奏)
&
4
その他 形式: CD
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メーカーによる説明
グラス:ヴァイオリン協奏曲/シュニトケ:合奏協奏曲第5番 | ヴァインベルク:交響曲第2番&第21番「カディッシュ」 | ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番、チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 | ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番、チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 | |
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カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.6
80
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5つ星のうち4.7
4
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5つ星のうち4.5
61
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5つ星のうち3.7
7
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価格 | ¥1,647¥1,647 | ¥3,341¥3,341 | — | — |
製品仕様 | CD | CD | CD | CD |
発売日 | 2019-07-24 | 2019-07-10 | 2015-05-06 | 2008-01-23 |
登録情報
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 梱包サイズ : 14.09 x 12.63 x 1.37 cm; 80.32 g
- メーカー : ユニバーサル ミュージック クラシック
- EAN : 4988005501424
- 時間 : 1 時間 19 分
- レーベル : ユニバーサル ミュージック クラシック
- ASIN : B000YY66KA
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 256,780位ミュージック (ミュージックの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年1月20日に日本でレビュー済み
録音のせいもあるかもしれないが、弦楽器はキンキン気味、ピアノも何か荒れ気味なコンディションで、耳に痛い演奏ではある。
難曲2曲を個性の強い大御所3人がブツかりながら力で纏め上げたという感じの、良くも悪くも非常に緊張感溢れる演奏。この緊張感はショスタコーヴィチの方により良く機能したようで、第1楽章が始まった瞬間のこの緊迫感はさすがだと思う。時に金切り声のような、時に泣き擦れたようなバイオリンの響きがトリオの演奏に収まってしまうという結果オーライぶりが面白いが、これは奏者の狙いなのか才能なのか。(多分どっちもなんだろうね。)
最終曲(何とタンゴ!)の作者であるペーター・キーゼヴェッターという人は良く知らないが、調べた限り、ドイツのタンゴ作家ではなくクラシックの作曲家なんじゃないかなあ。本人達はリラックスして演ってるのかもしれないけど、この小品も金属的で緊張感あふれる印象です。
難曲2曲を個性の強い大御所3人がブツかりながら力で纏め上げたという感じの、良くも悪くも非常に緊張感溢れる演奏。この緊張感はショスタコーヴィチの方により良く機能したようで、第1楽章が始まった瞬間のこの緊迫感はさすがだと思う。時に金切り声のような、時に泣き擦れたようなバイオリンの響きがトリオの演奏に収まってしまうという結果オーライぶりが面白いが、これは奏者の狙いなのか才能なのか。(多分どっちもなんだろうね。)
最終曲(何とタンゴ!)の作者であるペーター・キーゼヴェッターという人は良く知らないが、調べた限り、ドイツのタンゴ作家ではなくクラシックの作曲家なんじゃないかなあ。本人達はリラックスして演ってるのかもしれないけど、この小品も金属的で緊張感あふれる印象です。
2018年2月5日に日本でレビュー済み
Shostakovichのピアノ三重奏曲は2曲作られていて、第1番は作曲家がまだ14歳頃に作曲している。もう一つは作曲家が30代半ばに作ったもので、このCDにもこの第2番が収録されている。
クレーメル、アルゲリッチ、マイスキー、と現代で最もこの作品にふさわしい3人による名演ではないだろうか。
クレーメル、アルゲリッチ、マイスキー、と現代で最もこの作品にふさわしい3人による名演ではないだろうか。
2010年11月18日に日本でレビュー済み
アルゲリッチ、クレーメル、マイスキーのチャイコフスキー作曲ピアノ三重奏曲<ある偉大なる芸術家の思い出のために>ですが、3者の呼吸がピッタリ合っていて、まるで会話をしているようです。特に第二楽章後半は聴き応え十分です。僕はスーク・トリオの録音とラン・ランの録音も持っていますが、こちらの方が好きですね。
2004年12月11日に日本でレビュー済み
ショスタコーヴィチが畏友ソレルチンスキーの急逝を悼んで書き上げたトリオ。この曲には過去幾つかの演奏があるが、殆ど成功していない。その原因はチェロにある。この曲の圧巻は第4楽章の、呻き、のたうち回って慟哭する狂気のチェロにあるのだが、これが充分弾き切れるチェリストは皆無に等しい。これまで完膚無きまでにここを弾ききったのは、ロストロポーヴィチただ一人だった。そして今、マイスキーがそれに続いた。
アルゲリッチはドツボに嵌っている。クレーメルの神経質すぎる金属音は時に不快か。しかし元来美音を愛でるための曲ではないので、これもまた可とする。
彼の代表作の一つではあるが小品故に、何かとカップリングされることが多い。しかしチャイコフスキーのトリオとの組み合わせは戴けない。一度に葬式を二つ梯子させられるようなものだ。一枚のCDではあるが、それぞれ別の日に聴きたい2曲である。
アルゲリッチはドツボに嵌っている。クレーメルの神経質すぎる金属音は時に不快か。しかし元来美音を愛でるための曲ではないので、これもまた可とする。
彼の代表作の一つではあるが小品故に、何かとカップリングされることが多い。しかしチャイコフスキーのトリオとの組み合わせは戴けない。一度に葬式を二つ梯子させられるようなものだ。一枚のCDではあるが、それぞれ別の日に聴きたい2曲である。
2010年3月5日に日本でレビュー済み
ショスタコヴィッチの三重奏曲第2番の曲目解説に不信を持ったので、このCDを求めました。この曲が演奏者の音楽力の良否によってこんなにも異なるとは予期しませんでした。このCDの演奏は抜群です。作曲当時の社会情勢を勉強し、作曲者の心情を推察しながらこのCDを聞いて見て下さい。従来の解説文は書き直す必要があります。
2007年12月12日に日本でレビュー済み
1998年5月、すみだトリフォニー・ホールにてライヴ録音。元々この企画を考えたのは、アルゲリッチにとっては40年以上、クレーメルにとっては25年以上マネージャーを務めたラインハルト・ポールセンとのことだ。ただし氏はこのライヴの直前に亡くなってしまった。そのためこのアルバムは氏に捧げられている。
この3人の凄腕を組み合わせライヴでトリオをやる、という発想は既にクラシックの世界の発想ではない。ジャズやロックの世界の発想だ。しかしできあがったこのライヴを聴くと、大して実力もないのに、ジャムったなどと言っている非力なミュージシャンのそれとは異なり、完璧な世界を作り上げてしまう。この醍醐味を知った彼等は実に楽しげでもある。
曲もイイ。ショスタコーヴィチのピアノ・トリオ第2番は初めて聴いたがスゴイ曲で驚いた。特に第2楽章がスゴイ。
『ある偉大な芸術家の思い出に』はよく知った名曲だが3人の手にかかるとこうなるか、とただ唖然。もう音に対するセンスがずば抜けている。このライヴには観客として、ウラディミール・アシュケナージやレオン・フライシャー、そしてあの大江健三郎も来ていたようだ。こういう観客が来るというだけでも驚きだ。
クレーメル+アルゲリッチの室内楽の最高傑作がこれだと思う。
この3人の凄腕を組み合わせライヴでトリオをやる、という発想は既にクラシックの世界の発想ではない。ジャズやロックの世界の発想だ。しかしできあがったこのライヴを聴くと、大して実力もないのに、ジャムったなどと言っている非力なミュージシャンのそれとは異なり、完璧な世界を作り上げてしまう。この醍醐味を知った彼等は実に楽しげでもある。
曲もイイ。ショスタコーヴィチのピアノ・トリオ第2番は初めて聴いたがスゴイ曲で驚いた。特に第2楽章がスゴイ。
『ある偉大な芸術家の思い出に』はよく知った名曲だが3人の手にかかるとこうなるか、とただ唖然。もう音に対するセンスがずば抜けている。このライヴには観客として、ウラディミール・アシュケナージやレオン・フライシャー、そしてあの大江健三郎も来ていたようだ。こういう観客が来るというだけでも驚きだ。
クレーメル+アルゲリッチの室内楽の最高傑作がこれだと思う。