実在の一都市をテーマとして、監督個人の想像力の赴くままに撮りあげられた「私的」映画の名作と言えば、この作品にとどめを刺すでしょう。
(但し独特のケレン味の強さにより、好みは分かれると思いますが)
1972年公開、最盛期のフェデリコ・フェリーニ監督が、ローマの街そのものを主人公に据え、持ち前の想像力と稀有の造形感覚を縦横無尽に駆使して撮りあげたフィルムです。
一見脈絡無く展開される幻惑的なエピソードの数々は何れも魅力的ですが、とりわけローマの地下鉄工事中に地下の大空洞で発見された古代の鮮やかな壁画が、外気に触れた為、瞬く間に消滅して行くシーンは、観る者に映画フィルムの移ろいやすさすら想起させて、忘がたいものがあります。
この「消え行く壁画」のシーンが、今回2K修復により鮮明に蘇ったことに、不思議な感慨も覚えました。
最後に、今回の2K修復版Blu-rayでは、特典としてマルチェロ・マストロヤンニが出演したカットが初めて発掘・収録されており、ファンには堪らないものがあります。
マストロヤンニは作品の終わり近くの、トラステヴェレ地区での宴のシーンでふっと姿を見せますが、この名優が登場しただけで画面がパッと明るくなる印象すら受けます。
信頼してやまない仕事仲間にして友人同士であったというフェリーニ監督とマストロヤンニの曰く言い難い絆を改めて感じさせられた次第です。
追記:
なお、押場靖志氏(『フェリーニ 映画と人生(白水社)』の訳者)によるブックレットの丁寧な解説文も、『サテリコン』と同様に出色の内容。より充実した厚みのある本編鑑賞を可能にする貴重なヒント・補助線が惜しげも無く提供されている良心的な解説だと思います。
フェリーニのローマ [DVD]
フォーマット | 色, 字幕付き, レターボックス化 |
コントリビュータ | ピーター・ゴンザレス, フェデリコ・フェリーニ, ブリッタ・バーンズ |
言語 | イタリア語 |
稼働時間 | 2 時間 |
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商品の説明
遠い記憶とめくるめく幻想……。
巨匠フェリーニの映像世界〈ローマ〉が広がる。
ワールド・シネマ・コレクション 第1弾
“芸術の都パリとローマが生んだ映画たち―。トリュフォーが描く愛、フェリーニが描く幻想。”
リニューアル・ジャケットで新登場!
<キャスト&スタッフ>
ピーター・ゴンザレス
ブリッタ・バーンズ
ピア・デ・ドーゼス
フィオナ・フローレンス
監督:フェデリコ・フェリーニ
脚本:フェデリコ・フェリーニ/ベルナルディノ・ザッポーニ
音楽:ニーノ・ロータ
●字幕翻訳:稲田嵯裕里
<ストーリー>
幾世紀もの歴史と舞台が共存する都市ローマ。巨匠フェリーニの人生の舞台でもあり、彼の作品の舞台でもあるローマを、ドキュメンタリーともファンタジーともつかぬ独自の表現で映像化した。
少年期――物憂い冬の日に教わった歴史上のローマ
青年期――喧騒と猥雑のるつぼと化したローマ
現在――長髪のヒッピー、マキシの女たちに占領されたローマ
そして、それらを皮肉った幻想のローマ……度重なる隆盛と衰退を経て生き抜いてきたローマの底力が、ダイナミックな映像とニーノ・ロータの流麗な旋律で浮き彫りになる
<ポイント>
●1972年度キネ旬ベスト10の第2位。
●フェリーニが最もエネルギッシュに活動していた時代の傑作。
●フェリーニが愛するローマを独特の映像美で表現したファンタジー。
<特典>
●オリジナル劇場予告編
登録情報
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 言語 : イタリア語
- 梱包サイズ : 18.03 x 13.76 x 1.48 cm; 83.16 g
- EAN : 4988142633729
- 監督 : フェデリコ・フェリーニ
- メディア形式 : 色, 字幕付き, レターボックス化
- 時間 : 2 時間
- 発売日 : 2008/2/22
- 出演 : ピーター・ゴンザレス, ブリッタ・バーンズ
- 字幕: : 日本語, 英語, イタリア語
- 販売元 : 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- ASIN : B0011GIELE
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 26,687位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- - 231位外国のファンタジー映画
- - 2,366位外国のドラマ映画
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年1月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年4月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
子供の頃、この映画をテレビで観た記憶がある。
強烈に胸に残っているのは、聖職者のファッションショーの場面だ。
僕はめくるめくシーンの連続に心を奪われてしまった。
数十年ぶりに見直したわけだが、そのほかの場面にも強烈な匂いを感じた。
主人公はローマ、ごった煮のような猥雑の都市だ。
極度の猥雑さを描くフェリーニの力量に脱帽するしかない。
今回は娼館の場面が気に入った。
やり手ばばぁの口上が小気味よい。
だが突然娼婦たちが全員上の部屋に行くように言われ、客はお預けを食らう。
「誰が来たんだ?」「ふふ、神のみぞ知るよ!」
伝統ある都市には、伝統ある裏側があるんだな。
見終わると腹一杯でした 笑
強烈に胸に残っているのは、聖職者のファッションショーの場面だ。
僕はめくるめくシーンの連続に心を奪われてしまった。
数十年ぶりに見直したわけだが、そのほかの場面にも強烈な匂いを感じた。
主人公はローマ、ごった煮のような猥雑の都市だ。
極度の猥雑さを描くフェリーニの力量に脱帽するしかない。
今回は娼館の場面が気に入った。
やり手ばばぁの口上が小気味よい。
だが突然娼婦たちが全員上の部屋に行くように言われ、客はお預けを食らう。
「誰が来たんだ?」「ふふ、神のみぞ知るよ!」
伝統ある都市には、伝統ある裏側があるんだな。
見終わると腹一杯でした 笑
2022年7月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
50年ぶりに再見できました。作品そのものを忘れていました。貴重な体験ができました。どうも有難うございました。
2018年12月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
壮大な古代壁画『サテリコン』と絢爛豪華な風物詩『フェリーニのアマルコルド』の間に挟まれた本作ですが、単なる間奏曲などでは絶対になく、イタリア最大の都市を映したクロニクル的傑作だと、このBlu-rayを購入・視聴して、改めて思いました。
削除シーンにはなんと監督の分身マルチェロ・マストロヤンニが出演しており、これを見るだけでも大変価値があると思います。
削除シーンにはなんと監督の分身マルチェロ・マストロヤンニが出演しており、これを見るだけでも大変価値があると思います。
2022年1月16日に日本でレビュー済み
公開当時見たら、きっと衝撃的だったかもしれませんが、今見ると、それなりの解釈が必要です。
ストーリーは幼少期のエピソードの再現VTRをランダムに並べたようなものです。
出演者も再現VTR並で、スターのオーラのない下世話な人たちです。
日常の猥雑さを大画面で見せられるのも変な感じです。
サテリコンの誇張された猥雑さとは違います。
セットとエキストラの規模は特筆すべきです。
映画の黄金時代を感じさせます。
ヨーロッパ映画が未だハリウッド映画に対抗出来ていた時代ですね。
最近のヨーロッパ映画はハリウッド的になってしまいました。
見ておく価値はあると思いますが、見ておかなければならないということもありません。
ストーリーは幼少期のエピソードの再現VTRをランダムに並べたようなものです。
出演者も再現VTR並で、スターのオーラのない下世話な人たちです。
日常の猥雑さを大画面で見せられるのも変な感じです。
サテリコンの誇張された猥雑さとは違います。
セットとエキストラの規模は特筆すべきです。
映画の黄金時代を感じさせます。
ヨーロッパ映画が未だハリウッド映画に対抗出来ていた時代ですね。
最近のヨーロッパ映画はハリウッド的になってしまいました。
見ておく価値はあると思いますが、見ておかなければならないということもありません。
2019年4月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
イタリア映画の顔、マルチェロ・マストロヤンニ出演シーンが収録されている。一見の価値あり!
2018年8月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
特にストーリーもなく時系列もバラバラな映像の羅列に見えますがフェリーニの頭の中にあるローマを描いているようです。こんな映画もあり得るんだと感じます。