寺山修司の生い立ちと彼の代表作のハイライトを混在させて、
詩人・歌人・作家・評論家・演出家・映画監督...
として活躍した男の人間像を描くことに成功した作品。
少年から青年、青年から男へ。
青森から東京へ。
独身から結婚を経て離婚へ。
一人の男の人生と創造の世界が入り混じり、
寺山修司という男の存在が、
そのまま作品だったような気がしてくる。
この作品を観た直後、三沢の寺山修司記念館を訪れた。
ちょうど特別企画展で父・八郎の人間像を追っていて、
「5歳で死別した父への想い」と
「生涯、誰かの父になる道を選ばず、
自分自身の父だけで在り続けた想い」に熱くなった。
敗血症で47歳の若さで他界した寺山。
もう少し長く生きていたら、
誰かの父になる道も選んだかもしれない。
そう考えながら、この作品を観ると、
母ハツと同様に父八郎が修司に及ぼしたであろう
影響力を想像せずにはいられない。
でも、私の妄想を寺山はきっとこんな風に笑い飛ばすんだ。
「百年たったら帰っておいで 百年たてばその意味がわかる」