収録曲・CD情報の記載がないのでこちらに。
1. 風を撃て
2. 野良の虹
3. 水色のアジサイの上
4. 茜色したあの空は
5. 冬のオルカ
6. 水とテクノクラート
7. 休日ダイヤ
8. 風を撃て(instrumental)
9. 野良の虹(instrumental)
10. 水色のアジサイの上(instrumental)
11. 茜色したあの空は(instrumental)
12. 冬のオルカ(instrumental)
13. 水とテクノクラート(instrumental)
14. 休日ダイヤ(instrumental)
キリンジ インディーズ時代にリリースされた2枚のMAXIシングル「
キリンジ
」と「
冬のオルカ
」(ともに1997年発売)を1枚にまとめたミニアルバム「
2 in 1
」のリマスター盤。ながらく入手困難だったが、デビュー10周年を記念して全7曲のインストverを追加して再販された。デビューMAXI「キリンジ」のシークレットトラックだった「好きさと放ってすぐに」以外のすべてのインディーズ曲を、リマスターされオリジナル盤より良くなった音質で聴くことができる。
正直、メジャーデビュー後に比べて演奏や歌唱にはつたなさを感じることはあるかもしれない。でも聴けばすぐにわかる、ずば抜けた音楽センスを感じさせる楽曲のクオリティの高さ。「これでインディーズか?」とプロアマ問わず音楽好きの度肝を抜いて、当時キリンジを知った人たちは騒然となった。その騒然っぷりを目にしていない人も、この1枚で追体験できると思う。
収録曲について
・M-1, 2, 5 の3曲はワーナーからのメジャーデビューアルバム「
ペイパー・ドライヴァーズ・ミュージック
」に収録されている。大幅にアレンジが変わっているわけではないが、M-1, 5は「PDM」とはヴァージョン違い。ワーナー時代のベスト盤「
キリンジ SINGLES BEST Archives
」にoriginal ver.として収録された「風を撃て」「冬のオルカ」を除き、ベスト盤や複数のコンピで聴けるものは基本的にすべて「PDM」バージョンになる。
・M-3, 4, 6, 7 の4曲はメジャー以後のアルバムには収録されていない。
・M-3 インディーズ盤の流通量ゆえあまり知られていない弟作詞作曲、The Fifth Avenue Bandを髣髴させる三拍子の佳曲。インタビュー等のコメントによると「
ザ・フィフス・アヴェニュー・バンド
」は二人がバンドを組むにあたって理想としたレコード/バンドのうちのひとつだったそう。
・M-4, 6, 7 兄作詞作曲。初期に特によく見られた文学的な歌詞が特徴的。もの珍しくも難解でもあったが、そういった評価を受けてメジャー以後のキリンジは徐々に軌道修正された点もあるように思う。そこまで難解といわれることをまだ想定していなかったであろう、メジャー以前のこの時代のキリンジ歌詞、その"文系無双"は、20世紀J-POPの文化遺産のひとつといってもよいと思う。この3曲を挙げるだけでも曲調のタイプがそれぞれかなり違うが、その引き出しの多さが彼らの影響を受けてきた音楽の量と質に裏打ちされていることを想起させる。
・M-4 インディーズ盤のみの曲ではあるが、ライブで長らく大事に演奏されている。兄弟でのキリンジとしてはラストライブとなったTOUR 2013でも、「喉越しのいい涙で最後のお別れできたらいいさ」とカントリー調で陽気に歌う、懐かしいこの曲がアンコールを彩ったそうだ。DVD「
KIRINJI PREMIUM LIVE 2007 at 日比谷野外大音楽堂
」にもライブ演奏が収録されている。
追記:TOUR 2013での演奏は映像で収録・発売されるとのこと。「
KIRINJI TOUR 2013‾LIVE at NHK HALL‾ [Blu-ray
]」/「
KIRINJI TOUR 2013‾LIVE at NHK HALL‾ [DVD
]」
・M-6 は超絶変調と変態コード進行に爽やか歌唱という、ひとつの"キリンジらしさ"の真骨頂といえる1曲。「これでインディーズかよ」とうなったうちの何割か(だいたい高樹派)がうなった理由がこの曲。
・M-7 "文系無双"という点で、キリンジの特色のひとつだった"歌詞なのにとんでもなくエロい"方面の加点を抜きにした場合、「休日ダイヤ」は文系歌詞の極北に位置づけられるべき初期の名曲。「
KIRINJI 10th Anniversary‾SPECIAL SHOWCACE FINAL @Billboard Live TOKYO [DVD
]」およびシングル「夏の光(ASIN:B003GYCO2Y)」でM-7のライブテイクが収録されている。
かなり売れたアーティストでも15年前のインディーズといえば手に入りにくいことが多い。2in1 がこんな形で今でも入手可能であることを嬉しく思う。ちなみに、アーティスト本人の写真が使用できないという制約があったため、兄弟の肖像を切手風にデザインした版画で製作したジャケットなのだそうだ。どこか懐かしくも、古びる気がしないのはこの7曲にふさわしい素晴らしいデザイン。ガワも中身もおそらく100年先にも通用する品なので、入手可能なうちに、末代への文化遺産として是非貴方もアーカイブを。