05年リリースの"Omar Rodriguez"に続く、Quintet名義での2作目。とは言いつつ、どうやらレコーディングされたのは1作目と同期らしい。天空への雷撃/奈落への瓦解を繰り返すオマー印のインプロ主体に、フリーキーの渾沌を展開する仕様は確かに同様。一方で、ミックスやらナンやらの後作業の違いは明らかで、先の騒乱もひっくるめてこちらのほうがかなりスマートな印象を受ける。
銅鑼の音から始まる"Omar Rodriguez"で印象的だった、オリエンタル・ドローンな調べはココでは霧散。わぎゃわぎゃと戦慄くインプロの交雑にクッキリ浮かび上がるのは、70年代の電子マイルス志向のアヴァンな表情。ただ、アヴァンと言っても意味不明な破壊・構築がなされるわけではなく、展開はかなりスムースで聴き易い。
気怠く揺らめくリズム/サクソフォンの絡みから重金属質のブレイクへと一気に雪崩れ込むTr.2"Knee Deep in the Loving Hush of Heresy "始め、豊かな感性により紡がれる音は非常に刺激的。本家の"Viscera Eyes"を土台に、上でオマー/エイドリアン/M.マークのソロが順に執られる"Jacob van Lennepkade'U"なんて曲もあるが、どっしりと揺ぎない鉄鍋の中で、熱く滾る異音のごった煮のようなサウンドは"Amputecture"に通じるものも感じる。タイトルトラックや"Fuerza de Liberacion"など、余分な長さを感じる抽象ナンバーもあるが、全体的によくまとまった佳作だと思う。